【 2009年06月29日 03:03 】
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DEEP事務局/クラブバーバリアン
「DEEP TOYAMA IMPACT」
2009年6月28日(日)富山テクノホール
開場14:00 開始15:00
▼メインイベント DEEP女子ライト級タイトルマッチ 5分3R
○MIKU(クラブバーバリアン/王者)
一本 3R2分53秒 ※腕ひしぎ十字固め
●リサ・ワード(アメリカ/ユナイテッド・ファイトチーム/NFC女子フライ級&FFF同級王者/挑戦者)
世界の格闘技メディアも注目した女子MMA軽量級最強決定戦。ここ数年の国内女子MMAで、これほどまでにハイレベルな試合があっただろうか。
これまではclubDEEPとして小規模の会場で開催されてきた富山大会は、今回始めて大会場であるテクノホールで、本戦規模の興行となり、観客もほぼ満員の1634人を集めた。そんな大会のメインという重責を任されたのは、他の誰でもなく、富山からDEEP女子ライト級王者となったMIKUだった。
セミファイナルではチームメイトのBarbaro44がベテランの伊藤崇文に激勝し、会場はメインに向けヒートアップ。先に挑戦者のリサ・ワードが入場し、そのあとで多くの幟が立てられた花道をMIKUは颯爽とかけてきた。
戦前は両者のコメントから打撃戦が展開されるのではとも思われたが、試合が始まると、やはりリサはMIKUのパンチをかいくぐり、くみついてテイクダウン。しかしMIKUは慌てることなく、ハイガードもしくはラバーガードで相手をしっかりと固め、下から腕十字を狙う。さらに相手がリフトしてくると、それを予想していたのか、師匠・福本吉記の指示どおり、持ち上げられたまま三角絞めを仕掛けていく。
↑腕十字を持ち上げられてからの三角絞めという連携は素早かった。
これは少し予想外の展開だった。昨年のシュートボクシング参戦時に投げ技を磨いたMIKUだけに、もっとテイクダウンの攻防にこだわると思っていたからだ。ところが、相手がテイクダウンの強いリサだったこともあるのだろう、MIKUは投げに固執するよりも、優位な体勢のまま下になることを選択したのだ。
「もともと私は下からの攻めが得意なんですよね。下から腕十字、そして三角絞めというのも私の得意なパターンなんです。だから福本さんからも『下になってもいいんじゃないか』と言われて、上になることにこだわりませんでした」(MIKU)
リサも取られている腕を抜き、グラウンドに戻ってMIKUの股を割りパスを狙う。MIKUはそうはさせず、またハイガードに戻し、下からの腕十字! これは一度目よりもしっかりと極まっており、リサもなんとか粘ろうとするが、MIKUは相手を寝かせて自身も仰向けになり、より極め具合を強くしていく。これをはずしたリサは亀になったMIKUのバックに回り、チョークを狙うがここで1R終了のゴングがなった。
この1Rの攻防が、この試合の趨勢を決めたと見るのは、他の誰でもない。MIKUとの対戦が噂され、この日もリングサイドで試合を見つめていた女王・藤井惠だ。
「1Rが終わって、『MIKUちゃんが勝つ』と感じました。リサは腕のベースが取れていなくて、下から腕を取られた時の対処ができていませんでした。そんな苦手な部分をMIKUちゃんに突かれましたね。MIKUちゃんがグラウンドで丁寧に対処したおかげで、リサは1Rで気持ちが引いてしまったようにも見えました。逆にMIKUちゃんはそこからエンジンがかかっていきましたよね。MIKUちゃんは先を考えて戦っていたし。気持ちが強かったと思います」
MIKUのエンジンがかかったのにも理由はあった。1R終了間際、ほぼ極めかけていた腕十字を取り逃がしたことで、MIKUは焦るどころか「ここまで何度も腕を伸ばせるなら、いつかきっと取れる」と確信し、2R以降も気持ちが途切れることはなかったのだという。
↑極まったかに見えた1Rの腕十字。交通事故で腰を痛めた影響は見られなかった。
一方、藤井が「引いている」と読んだリサの精神状態も、MIKUは感じ取っていた。2R、MIKUのパンチを明らかに嫌がり、下がってしまうリサ。これは「打撃勝負で」と宣言していたMIKU陣営の思うツボだっただろう。
1Rと同様にグラウンドの展開となった2R。前回はあっさりとパスを許したMIKUも、今回は相手に決して足を越えさせることはない。そして、MIKUがハーフガードの状態からリサの頭を抱えると、福本から「カントリー!」と謎の指示が飛ぶ。するとMIKUはそのままスイープに成功。リサもなんとか上を取り返そうとするが、MIKUは上をキープしたまま、フロントチョークへ!……しかし、これはただのフロントチョークではなかった。
「MIKUはハーフからフロントチョークを取るんですけど、“カントリー”というのは、フロントチョークとのコンビネーションで首を極める技なんです。フロントチョークの状態から自分の腕をズラして、自分の胸をテコにして相手の首を圧迫します。同じく首を極める“ワールド”(世界)に対して、“カントリー”(田舎)という名前を考案したんですよ(笑)」(福本)
↑フロントチョークと新技カントリーの連携。これも普段の練習の成果といえる。
首を極められ、次第にリサの身体の力が抜けていくのが見てとれた。ここは極まりこそしなかったものの、この攻防がリサの肉体的かつ精神的スタミナを奪い取ってしまったに違いない。
それが露になったのは、3RのMIKUの攻めだった。もはやリサは力なくMIKUにグラウンドに持ち込まれ、さらに「ボディにパンチやヒザを打った時の反応で、相手が効いているのが分かりました。嫌がって逃げているんですよ。もう、そこからどう極めるか、ということに切り替えました」(MIKU)という。
亀になったリサのバックを狙いながら、そのままパスし、マウントを奪ったMIKU。再度へ移行し、しっかりとポジションを整えて、相手に乗っかるような形で腕十字! リサはたまらずタップし、MIKUのリベンジ、そしてタイトル防衛は成し遂げられた。
↑フィニッシュの腕十字。リサに跳ね返す力は残っていなかった。
「何も特別な対策はしていない」。試合前の福本の言葉は、確かに真実だったのだろう。下からの攻防が勝利の大きな要因となったのも、作戦だったわけでもない。MIKUは普段の練習で培った、自分の得意なパターンに持ち込み、冷静に自分のやるべきことを遂行した。
「前は勢いだけで戦っていたので(リサに負けた)」とは試合前のMIKUの言葉だが、もうそんな自分はどこにもいない。リングの上で勝利のコールを受けたのは、3年の間で世界トップレベルにまで成長した、DEEP王者にふさわしいファイターだった。藤井と同じくリングサイドで試合を観戦した長南亮も、「あそこで判定まで行かず、最後に一本を取れるというのは、光るものをもった選手ですよね」とMIKUを評価している。
試合後、MIKUは再び藤井惠との対戦をアピール。藤井は7月11日に石岡沙織との試合を控えているため、明言こそしなかったものの「(もしMIKUと対戦するなら)パウンドありがいいと思う」と、MIKU戦が視野に入っているかのようなコメントを残した。一方のMIKU陣営は、「MIKUには少し休んでもらって、1年ぐらいかけて体重を上げていきたい」との方針を示した。そのため「今年中の二人の対戦は無い」という佐伯氏。今回のMIKUの勝利で、MIKUvs藤井戦の機運はいやがうえにも高まるが、夢の続きは、もう少し先まで取っておくことにしよう。
<そのほかの試合結果>
▼セミファイナル 70.3kg以下契約 5分3R
○Barbaro44(クラブバーバリアン)
TKO 2R4分07秒
●伊藤崇文(パンクラスism)
▼第6試合 65.8kg以下契約 5分2R
○アライケンジ(パンクラスism)
一本 2R1分13秒 ※チョークスリーパー
●渡辺匡宏(U-FILE CAMP岐阜)
▼第5試合 無差別級契約 5分2R
○誠悟(フリー)
一本 1R1分04秒 ※ネックロック
●徳蔵(東亜常真会)
▼第4試合 70.3kg以下契約 5分3R
○五十里祐一(P's LAB東京)
判定3?0
●青木隆明(禅道会)
▼第3試合 60kg以下契約 5分2R
○青山 忍(和術慧舟會富山支部SPO)
判定3?0
●坂元寛史(NASCER DO SOL)
▼第2試合 70.3kg以下契約 5分3R
○梶田高裕(GSB)
KO 1R3分36秒
●大杉ジャカレ優也(TEAM・HODA)
▼第1試合 64kg以下契約 インスタントカーマpresentsおやじキックルール 2分2R
○滝田TETSU郎大先生(クラブバーバリアン)
KO 1R1分43秒
●神道雅宏(Ares)
第1部
▼第6試合 77kg以下契約 5分2R
○土屋彬充(本間道場)
TKO 1R1分34秒 ※パウンド
●北田 有(和術慧舟會富山支部SPO)
▼第5試合 67kg以下契約 5分2R
○藤井崇文(GSB)
TKO 1R3分21秒
●平 一輝(和術慧舟會富山支部SPO)
▼第4試合 67kg以下契約 おやじ総合ルール 3分3R
○宮本智明(和術慧舟會富山支部SPO)
一本 1R39秒 ※三角絞め
●パッション中村(クラブバーバリアン)
▼第3試合 65kg以下契約 キックルール 2分2R
○篠川キャベツ晴成(クラブバーバリアン)
TKO 1R1分23秒
●中根和美(Ares)
▼第2試合 60kg以下契約 5分2R
○姫野泰尚(クラブバーバリアン)
一本 1R4分20秒 ※スピニングチョーク
●中原大輝(和術慧舟會富山支部SPO)
▼第1試合 65kg以下契約 5分2R
○柴田稔生(和術慧舟會富山支部SPO)
KO 1R46秒
●佐藤翔太郎(パラエストラ上越)
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