【中国武術】第9回拳王杯全日本日式散打選手権大会/義龍會

【 2008年11月03日 18:39 】

【Fight&Life vol.09】

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中国武術・義龍會
第9回拳王杯全日本日式散打選手権大会

2008年11月3日(月)
開始10:00


■総合の打撃?

 オープンフィンガーグローブ着用のKO制で、投げもある日式散打。“日式”と銘打つだけあって、“中国式”とは異なるファイトスタイルを見せる。散打の特徴の一つとされる、サイドキックによる突き放しはあまり使われていない。強いて区分するとすれば、“中国式”がキックボクシングに近いのに対して、“日式”は総合のスタンドの方に近いと言えるだろうか。


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投げ有りのKO制。関節技(スタンドのみ)も許された日式散打。


 義龍會の大会に10年間出場し続けているという栗木さんは、相手を高々とリフトしたり、立ち関節を狙ったり…。この戦いぶりから中国武術を想像するのは正直なところ難しかった。

 しかし、当人は「普段は太極拳中心です」と言ってゆずらない。タックルも関節技も型の中にある動きとのこと。「よく、お前のは総合だろう? 柔道だろう?と言われますが、どっちもやったことありません!」と、あくまでも中国武術家であることに胸を張る。

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重量級第3位・栗木健次さん


撮影_文・斉藤雅幸(Fight&Life)


 確かに、日式散打は中国武術家が中国武術を捨てて何か別の競技を始めたというのではない。結果的に、既存の格闘技からそう遠くない攻防になってはいるが、中国武術の技をより
実戦に近い攻防の中で試すというのが元々の趣旨のはずだ。試合になったら別の動き、というのではなく、中国武術そのもので戦いたい…。これは多くの日式散打選手の動機付けであり、浪漫である。しかし、そこはKO制。生半可な応用では、格闘技の率直な攻めにやられる。中国武術家の集まる大会とはいえ、中国武術本来の攻防を表現することには、実のところ非常に高いハードルがあるのだ。

 

■中国武術の真髄

 では、中国武術らしい攻防はあったのか?

 結論から言えば、あったということになる。バックハンドブローやハイキックなど派手な回転系の技の多さ。これも、比較的わかりやすい中国武術的な要素ではあるが…。廣瀬義龍代表が今大会の成果として認めたものは、これに比べると発見するのがやや難しいが、実践者の多くはそれに気づいていた、極めて中国武術的な攻防だった。

「見る目があったら、重量級の決勝戦に中国武術の真髄を見たと思います。どんなに錬っていても、実践であそこまではなかなか使えない。あまり弟子を誉めるのも何ですけど、今日はすごいものを見せてもらった。ありがとう」。義龍代表にこう絶賛させたのは、大会5連覇を達成した金子潤也選手の動き。そこには、あからさまに中国武術を誇示するような、何か表演的なものがあったわけではない。全般に相手をゆるやかにコントロールする中で、ふとした接触に、これが推手(すいしゅ)だろうかと思われる動きが出る。しかしそれはごく瞬間的なものだから、散打の大会を見に来ているという意識がなければ見過ごしてしまっただろう。いなすのが上手いな、ぐらいには思ったかもしれない。

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廣瀬義龍代表師範

 なお、この金子選手も決勝以外では豪快なハイキックを決めるなど、普通に強い打撃系の選手である。代表が太鼓判を押す選手でさえ、常に中国武術らしいのではない。それほど稀だからこそ、思わず代表も弟子を賞賛してしまったのだろう。いつ身につくとも知れず、身についていると思われる人でさえ、意図して使えるというものではないらしい。そうしたものに、膨大な時間をかけて取り組む人たちがいる。これを遠回りと見るか、豊かと見るか。後者のメンタリティーを持つ人だけが中国武術家を志す。



<決勝戦の模様>



▼重量級決勝戦
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○金子潤也(義龍會)
判定2-0  
●下田隆之(義龍會) 

 5連覇達成の金子が魅せた。通常の打撃も鋭い金子のプレッシャーは相当にきつい。心理戦で常に優位に立つ金子は、高度なディフェンステクニックを織り交ぜ、文字通りのコントロールを披露。決勝戦は、実質的な打撃の応酬の少ない、剛か柔かで言えば、明らかに柔の攻防。義龍代表の表現によるところの、開放性に対する密閉性の戦いだ。この展開は期せずして、極めて純度の高い中国武術的技巧の発露となった。読みの冴えも手伝って、吸収するようなガード技術が状況にピタリとはまっている。確かに、推手(すいしゅ)を感じさせる瞬間はあった。


――代表に中国武術の真髄とまで言わしめてた決勝戦でした。

金子
「自分では、そこまで考えていませんでした。身内だったので余裕もあり、リラックスして戦いました」


――型の稽古を活かせたのでは?

金子「そうなってくることが内家拳をやる意味なので、そうなるものだと思っています。型と格闘を離して考えてはいません。もともと型は格闘から生まれたわけですし。今日は怪我なく終われて良かったです。目標ですか? 健康であれば良いです」

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流れの中で掴んだ足をコントロールし、崩してバックを取る金子。

▼中量級決勝戦
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○市川暢(義龍會) 
判定2-0
●寺田幸平(義龍會) 

 開始早々、市川がラッシュを見せる。「とにかく気合、いかに集中するかだけを考えていた。何を出そうとかは全くありませんでした」と試合後に話していた通り、市川の前に出る意識の伝わる試合だった。対する寺田はときおりテクニカルな動きを見せるが、全般に下がりながらの攻撃にとどまる。市川がテイクダウンを奪い、さらにローキックで崩す。印象を左右する攻めを度々成功させ、決定打の出ないこの対戦で判定勝ちをものにした。

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テクニカルな寺田(右)だが、終始後退を強いられる。市川(左)の圧力による勝利。


▼軽中量級決勝戦
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○西山和宏(義龍會)  
延長戦判定3-0
●酒井哲也(目白大学志傳會) 

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後掃腿による不意打ちを見せる西山。


 共に積極的な打撃で攻める二人。打撃の応酬に大きな差は無く、序盤は拮抗していた。途中、西山が首相撲から強引に崩す攻めを見せる。なかなかクリーンヒットが出ない西山だが、組み際の差、フィジカルの差を次第に明らかにし始めた。本戦で決着はつかず延長戦に突入。いよいよ西山ペースで試合が進む。西山の技が決まるというよりも、酒井の崩れが目立ってきた。もつれれば、必ず西山が上になっている。本戦とは打って変わり、延長戦の判定ははっきりと分かれた。西山の3連覇が決まる。


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豪快な蹴りで攻撃をゆるめない西山。

▼軽量級決勝戦
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○秋谷洋輔(詠春龍神會)
判定3-0
●邉見祐二(総合武道格闘技龍武會) 


 義龍會勢を抑えて、他流選手が競った決勝戦。打撃で入っていき、クリンチの体勢から投げを狙う共通のファイトスタイルを持つ二人。2度、3度、同じ展開が繰り返されるがなかなか差はつかない。途中、秋谷の左フックがヒットするが、これも決定打とはならなかった。繰り返されるクリンチ。ここから双方とも投げられずにいる。しかし遂に5度目、
変化が出た。邉見のバックハンドブローに対し、頭を下げて組み付き両差しの体勢となった秋谷がテイクダウンに成功! 判定勝利につなげた。孤軍奮闘の秋谷、「とにかく勝ちにこだわった、負けたくなかった。今日はパンチが当たったのが良かったと思う」と試合を振り返った。 

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秋谷がバックハンドをくぐってテイクダウンに成功。




<大会結果>


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▼重量級
優   勝 金子潤也(義龍會)  
準優勝 下田隆之(義龍會) 
第3位 栗木健次(個人参加)    

▼中量級
優   勝 市川暢(義龍會)  
準優勝 寺田幸平(義龍會) 
第3位 薄井友希(目白大学志傳會)

▼軽中量級
優   勝 西山和宏(義龍會)  
準優勝 酒井哲也(目白大学志傳會) 
第3位 樋口晃(目白大学志傳會)

▼軽量級
優   勝 秋谷洋輔(詠春龍神會)  
準優勝 邉見祐二(総合武道格闘技龍武會) 
第3位 星加ユウジ(目白大学志傳會)

▼女子
優   勝 中村麻耶(義龍會)  
準優勝 丸山裕子(義龍會) 
第3位 石橋博子(目白大学志傳會)




【関連リンク】


中國武術・義龍會HP


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