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Photo by Zuffa
前回から引き続き、私的2009年下半期MMAベストアワードです。
MVP
BJ・ペン
09年下半期のMost Valuable player、最優秀選手を挙げるとすれば、この人しかいない。
MMAにおいて、何を以って最優秀を問うのかといえば、それは強さ。
強さをイメージさせるファイターは、山ほどいる。
プロMMAファイターにおいて、何を問うのかといえば、
その強さが観客に如何に伝わっているのか――。
観客に満足感を与える強さを持っている者も、試合の数に比例して多くいるだろう。
強い試合を、どのようなレベルの対戦で見せることができたのか。
ここで、MVP候補はガクンと少なくなる。
対戦相手が持つ強さ、「××と対戦すると危ない」と思われる対戦相手に、
強さをどれだけ見せることができたか。
結果、試合後に「どうすれば、勝てるんだ?」――と、
見ている者に思わせたファイターとなると、もう数えるほどしかいない。
エメリヤーエンコ・ヒョードルは、その結果を見れば強さの象徴といえる。
ただし、ひょっとして――と思わせたファイトを2試合続けている。
09年下半期でいっても、一度だけの実戦の舞台でブレット・ロジャースに
勝機を見つけることができる試合だった。
本来持つ強さは想像するしかない、
マッチアップによる喰い合わせという部分もあるだろうが、危ないと予想された試合で
誰にも文句を言わせない勝ち方をし、かつ観客を満足させることができた者。
ゲガール・ムサシの2試合は、
彼の持ち得るポテンシャルの高さを十分に見せるつけることができるものだった。
ただ、対戦相手のヘナート・ババルとソクジュでは、
他のファイターもあのような素晴らしい勝ち方ができるのでは――と思えてしまう。
ダン・ヘンと戦えば? キング・モーなら――と、期待が膨らむ試合だった。
ある意味、「どうすれば、勝てるんだ?」という感想は
その選手の試合を楽しむうえでは、絶望感と同義語かもしれない。
アンデウソン・シウバは、本来のミドル級でなく、
ライトヘビー級の試合で、圧倒的な強さを見せた。
が、その後、負傷個所の手術もあり、ファンの前に姿を見せたのが、
このフォレスト・グリフィン戦の1試合だけになってしまった。
GSPもまた、「ひょっとして……」と思われたチアゴ・ピッチブル・アウベス戦で
全く穴のない絶対的な強さを見せつけたものの、
下半期にオクタゴンに足を踏み入れたのは、
このピッチブルとの防衛戦、ただ1試合だけだった。
2009年でいえば、4戦4勝、全てTKO勝ち、ダブルジャンピング・二―で
8秒TKOをという衝撃の試合も含まれているジョゼ・アルド。
彼もまた、下半期に限ると王座を手にした、
11月18日のマイク・ブラウン戦しか実戦を行なっていない。
そういう意味で、2009年の後半の半年間で、BJが
ケニー・フロリアンとディエゴ・サンチェスを相手に魅せた強さは、
他に比肩できるものでなかった。
現在のMMA、勝利の方程式は、
倒されない、倒されたら立ち上がる、打ち勝つ。
これがファンにもプロモーターにも受ける勝ち方、つまり最も評価される勝ち方、
強さの伝わり方だ。
BJはボクシングでいえば、指名試合といってもいい
最強のチャレンジャーを迎えた2試合で、一度たりともテイクダウンを許していない。
ディエゴとの試合でみせたスイッチなど、もう驚嘆するばかり。
倒されそうにはなっても、倒されることはないBJだが、
彼の強みは、倒されても構わない点にある。
テイクダウンを防ぐ柔軟なヒザは、世界最高峰のガードワークを併せ持つ。
残念ながら、BJのガードワークを見る機会は、ライト級の試合では
ほとんどないが、下になっても構わないファイターが、
あれだけ倒れないのだから、ケン・フロもディエゴも勝機がなくても致し方ない。
BJが倒れないのは、卓越したテイクダウン・ディフェンスもそうだが、
仕掛けられたテイクダウンが、万全でないということも要因に挙げられる。
なぜか?
抜群の打撃センスによって、ケン・フロもディエゴもしょうがないから
テイクダウンを仕掛ける――という風に、
自分のタイミングで組みつくことができなかった。
ミドルを掴まれ、右ストレートで早々にダウンを喫したケン・フロ。
間合いで敗れた彼は、距離を潰して得意の首相撲の態勢に入ろうとしたものの
そこで右のエルボーを顔面に受けてしまった。
BJは見事にケン・フロを丸裸にしたが、
他のファイターがケン・フロを攻略できるかといえば、
12月12日のクレイ・グィダ戦をみれば、その答は自ずと見えてくる。
ディエゴはBJと戦うことで、その直線的でアゴがガラ空きになった打撃の欠点を
露呈したかもしれない。
ただし、BJ以外に彼の打撃とテイクダウンは通じるし、
その持ち味であるグラウンドワークを止めることができるファイターもそうそういない。
ケン・フロとディエゴのゲームプランを崩した一瞬の打撃の交錯、
BJは試合で打ち勝っているが、打ち合いを続けることはない。
相手の攻撃を受けないで、有効打を入れることができるので、
打ち合いを続ける必要がない。
だから、ギルバート・メレンデスとジョシュ・トムソンのような足を止めて打ち合う
という試合になることもない。
それでいて、しっかりと仕留めることができるので、
観客を満足させて、家路につかせることができる。
自分のペースで戦い続けることができる限り、スタミナ面も問題にならない。
もちろん、ここまでの強さを見せることができるのは、ライト級で戦う試合であって、
ウェルター級でのBJは、例え対戦相手がGSPでなくても、
あれほど完璧な強さを求めることはできないだろう。
だからこそ、強いままのBJを見続けたいが、
そうなるとMVPにさせてもらった最大要因、
「誰が勝てるのか?」という問題に突き当たる。
グレイ・メイナード、フランキー・エドガー、
この両者辺りが、2010年のBJの対戦相手候補として考えられる。
現代MMAの強さの象徴といっていい2人に(だからこそ)
ひょっとして――と部分を見出したいが、
この両者が果たしてケン・フロやディエゴに勝てるのか――という部分が、
ひょっとして――の期待度を下げてしまう。
そうなると、UFC以外のファイターとなるのだが、
上記にあげたトムソンとメレンデスの名勝負を見てしまうと、
彼ら2人ではちょっと荷が重いとしか言いようがない。
一発の打撃のKJ・ヌーン、
底を見せない寝技を持ち、打撃の距離感を磨く青木真也。
2人に打倒ライト級のBJに賭けてみたくなるが、
すぐに対戦することはないだろう。
BJを追い込むファイターが、ライト級で現れるか。
そして、望ましい状況ではないが、ウェルター級でBJがどこまで、
その強さを見せることができるのか。
とにかく、個人的には2010年のMMAの中心にBJがあることは間違いない。
ってな感じで、さいたま新都心へ行ってきます。
みなさん、良いお年を。
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【 2009年12月31日 11:10 】http://www.fnlweb.com/mtv33/mt-tb.cgi/4754