【Fight&Lifeコラム】Personal MMA Awards, 2009’s the last half  01/高島学

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Photo by Zuffa and Strikeforce

 

何度も何度も、見たり、聞いたセリフだと思うけど、
「早いもので、もう2009年が終わろうとしている」。


ウチの三女が、「ヤサイ、タベナイ」、「アサ、オキテェ」と
複数の単語をつなぎ合わせて話せるようになったことに驚いていたのも束の間、
歯磨きの仕上げをするために「こっちにおいで」と言えば、
「トーチャンガ、コッチニ、クレバイイデショー」なんて言い返すようになった。
文字に起こす時に、片仮名でなくなる日もすぐ来るだろう。
嬉しい半面、強すぎる自己主張に永遠の人間白帯はイラッとすることが増えた今日この頃。


日本では今の今、大晦日の最後のカードが発表される時を迎えている。
(川尻と青木の怒り。
本物の感情が見えたが、その感情をぶつけられる相手にあがなえない、
周囲もあがなえない。
よって、怒りの矛先が横田と廣田に向けるしかないのか……。
横田と廣田も、だからと言って、
『2人に失礼だから受けられない』とは言えないだろうし、降ってわいたチャンスを
みすみす逃していては、成功はない。
いずれにしても、彼らの怒りを対抗戦をあおる材料だけで終わらせては気の毒過ぎる)


海の向こうではUFCの年末イベントが、週末の関係で新春第一弾となったため、
先週末のWECとSTRIKEFORCEの2大会で、
2009年北米MMAワールドの活動はほぼ幕引きとなった。


09年上半期の北米MMAワールド、ストライクフォースが怒涛の契約ラッシュを見せ、
この半年でエメリヤーエンコ・ヒョードル、ゲガール・ムサシ、
ホナウド・ジャカレ、マリウス・ザロムスキー、マルース・クーネン、
ティエリー・ソクジュ、メルビン・マヌーフ、ジェイソン・ミラー、
KJ・ヌーン、ダン・ヘンダーソン、ボビー・ラシュリー、
シャオリン・ヒベイロ、アンドレ・ガウバォンらが、契約、あるいは試合出場を果たした。


日本をベースにしていたファイター、UFCとの契約更新をしなかったファイター、
ズラリと並んだ大物のなかには、ハーシャル・ウォーカーのような元NFLプレイヤーで
MMAでは何の実績もなく、将来性も首を傾ける
ファイターとの契約も見られるが、
そこがストライクフォースの軟膏自在さの表れといえるだろう。
個人的には乗れない事柄が、ストライクフォースのやりかた――
あるいはショータイムのやり方には多い。
ちょっと、日本の現状に似ている部分がある。
好きなだけでビジネスはできないが、好きでない人間に振り回されるのも悲劇だ。


トップがMMA好きで、社員がその道のプロ的な人が多いズッファ。
2カ月で3度イベントを開ければ、一大会ごとのPPV視聴者数は減少してしかり。
PPVラインナップも半分ぐらいは、『誰?』というようなカードもあることで、
個々の大会の出費は抑えられているのだろう。その一方で、
TUFシーズン10のキンボ×ロイ・ネルソンが北米MMA史上、
最高視聴率を挙げるなど、好材料は残している。
ただし、オクタゴンのなかを見れば、
各階級のチャンピンの相次ぐ負傷で、防衛戦が極端に少なく、
同様に負傷が原因の対戦カードの変更が重なるなど、
準メインカードの繰り上げメインが目立った半年だった。


いずれにせよ、ベラトールFCのシーズン2が来年4月にシフトチェンジされたこともあり、2009年の後半の北米MMAの話題は、UFC+WECのズッファ勢と、SHOMMAを含めたSTRIKEFORCEが独占し、二横綱時代の突入を印象づけた。


イベント+試合数の増加、顔ぶれの豊富さとは対照的に、
一試合の持つ重さ、その印象は薄味になりつつある。
戦い自体は、非常に高度で、ファイターの人生を左右するものばかり、
それでいて、情報化社会の流れに乗り、すぐに忘れ去られようとする素晴らしいファイトの数々、そんな北米MMAの動向を、自分の記憶にとどめるためにも、
私的2009年下半期北米MMAベストアワードをやってみたい。


ベストバウト

10位 09月16日 UFC FIGHT NIGHT ネイト・クォーリー×ティム・クレドゥアー

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「最近、時間のあるときに、TUFを改めて視る様にしている。とはいっても、最後に見たのは9月で、まだシーズン1の途中。そのシーズン1を見ていると、なぜクォーリーがここまで人気者なのか、理解できる。反対にいうと、見ていないとまるで彼の人気は理解できない。だから、UFCを理解するにはTUFを。今のトップを知るには、初期のTUFを知る必要がある。友人思い、責任感の強い好感クォーリー。当時から負傷がちで、今も再起を賭け、腰にメスを入れた彼が、絶体絶命のピンチにも打ち合いを避けず、打ち勝った逆転判定勝ち。メジャーなMMAでなく、メジャーにする喜びを知り、そのために必要なファイトを自らに課す――彼の勝利は、ただエキサイティングなだけなく心の琴線に触れるものだった」

 


09位 11月6日 SHOMMA ショーン・デルロサリオ×ブランドン・キャッシュ

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「SHOMMAの前身、エリートXC時代のSHOXCと契約し、これからというときの同プロモーションの活動停止。M-1チャレンジ=都落ちを経験したデルロサリオは、ストライクフォースとの契約を果たした。優れた指導者コリン・オーヤマが認めた打撃の才能と、ジヴァ・サンタナに鍛えられた柔術。人生2度目のステップアップの場で、デルロサリオはいきなりキャッシュの右フックで大の字になり、パウンドを集中される。これで終わり――、そんな時間をクローズドワークで耐えた彼は、オモプラッタから肩関節を極めて逆転勝利を挙げた。見事なフィニッシュ以上に、ダウンを喫したあとガードワークを取れないファイターが多くなってきたなか、身を守る術として、柔術を駆使した姿が印象深い。個人的にデルロサリオはケイン・ベラスケスに並ぶヘビー級の未来を担う逸材だと思う」

 

08位 11月14日 UFC マイケル・ビスピン×デニス・カーン

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「母国・英国で、日本では信じられない知名度を誇るビスピン。今もPRIDE時代の活躍で評価の高いカーンは、狙い通り右カウンターでダウンを奪う。パスからマウントまで奪われたビスピンは、記憶をなくしながら腕十字をからませガードワークでカーンの攻撃を遮断。初回の攻防でスタミナをロスしたカーンは、ビスピンに簡単にテイクダウンを許すようになり、最後はスタンドでヒザを入れられTKO負けに。急斜面を直滑降で滑り下りるようなファイトを求められて勝利してきたカーンと、ターンや急停止する術をまずは身につけることが許されたピスピン。両者の歩んできた道のりの違いを見たような試合だった」

 

07位 11月07日Strikeforceエメリヤーエンコ・ヒョードル×ブレッド・ロジャース

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「1月のアンドレ・オルロフスキー戦に続き、ヒョードルの試合を見られたことが良かった。ただ、戦う姿でなく、彼を喰う意思、可能性を持ったロジャースが相手だったことも、良かった。パウンドを落とし、腕十字をかわしたロジャースの頑張りが、ヒョードルに勝てるファイターの可能性を探らせたくなる。無敵より、こちらの印象が残るファイトの方がずっと楽しい」

 

06位 11月20日SHOMMA ケリー・ベラ×キム・クートゥアー 

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「ランディ・クートゥアーへの取材を申し込んだとき、ジムの受付から電話を取り次いだ時のキムの対応の良さが、今も心に残っている。その彼女が、打撃のできない対戦相手にパンチを打ち続け、笑顔で勝利を喜んだシーンが怖かった。離婚後もクートゥアーを名乗る彼女だが、ケリー・ベラのヒザ蹴り、ヒジ打ち、パンチの連打に対し、徐々に痛い顔を見せるようになった。それでも正面を見続け、ケージとケリーの間に挟まれるようにパンチを受け続けたシーンに、とにかくケージのなかではベストを尽くす――そんな当たり前だけど、なくしていく者が多い姿勢が見られた。ジナ、サイボーグ、マルース、エリン・トーヒル以外の選手がどれだけ強くなるか、志を持つことができるか。そういう意味で、この両者から女子MMAの未来に対して、可能性が見られた」

 

05位 12月19日 WEC スコット・ヨルゲンセン×水垣偉弥

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「ファイティング・エンターテインメントとして、ズッファは最も勝敗結果を重んじ、契約選手の戦績にこだわるプロモーションだと思っている。そんな彼らがWECで、とあるレジェンド系ファイターの参戦交渉に入っていると聞き、『違うだろう』と思わされたことがあった。自分の『なぜ?』に対し、エキサイティングなファイターが必要。水垣のような――という返答を彼らは、した。その水垣がWEC戦績1勝1敗で迎えた、この試合。彼に求められるエキサイティングな試合は、序盤に打ち負け、最終ラウンドの盛り返しも及ばす判定負けとなった。勝利に必要な部分と、勝利以外で得るモノが、これまでの日本人ファイターと逆をいく水垣。勝利がプライオリティのMMAで、打ち勝てない相手を攻め込むことができた後半戦、これからの水垣が上記にあるレジェンドより、ずっと気になるし、彼のWEC出場こそ、日本マットの未来につながると思った次第だ」

 

04位 12月19日 Strikeforce ギルバート・メレンデス×ジョシュ・トムソン

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「とんでもない25分間。とんでもなく強い、2人のファイターだった。自分のなかでは、前回のトムソンが圧倒した試合の方がMMAとして、高質だと思う。テイクダウンの攻防が散りばめられた、バランスの崩し合い。今回は足を止めての真っ向のからの打ち合いが目立った。そして、打ち勝ったメレンデスが勝利した。絶品はヒザを折ったトムソンに見舞ったアッパー。これでいて、決してレスリングが弱いわけでないメレンデス。ニック・ディアズ、ジェイク・シールズ、そしてメレンデスと、シーザー・グレイシーの教え子たちの強さ――。タイプが違うのに、ライト、ウェルター、ミドル級を制しそうな彼らの強さを知るには、シーザー・グレイシーを知りたいという思いが芽生える」

 

03位 12月12日 UFC ホウジマール・トキーニョ×ルッシオ・リニャレス

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「打撃に不安を抱えた者同士、そして絶対的に寝技に自信を持つ者同士の一戦だったからこそ可能になった、流れるような組み技マジックの数々。シングルレッグの体勢から、後方に引き込み足関節を仕掛けるトキーニョ。差しだされた足を利して、バランスを崩していくリニャレス。ここまで高度なグラップリングの攻防がMMAで見られることは稀だ。両者にとっての課題、そして柔術家のMMAにおけるテーマは、寝技に付き合わないで逃げる相手に、如何に技を仕掛けることができるのかということ。そして、この寝技の醍醐味溢れる試合であっても、TKO決着と一本決着の2試合に録画中継を譲ってしまわないといけない現実。グラップラーの課題は、実務面以外でも山積みにされている」

 

02位 07月20日 UFC  秋山成勲×アラン・ベルチャー

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「いかなる事情をファイターが抱えているとしても、その背景に関係なく表に出ている部分で、選手を評価している。表に出ている部分、それは試合結果、白星と黒星の数だけでなく、どんな試合に挑んでいるか。それがファイターとしての生き様だと思っている。そういう部分で、秋山という選手の生き様にひかれることはなかったが、この試合で完全に覆された。完全に覆された。UFCに挑戦したから――なんて、単純な理由でない。UFCに挑戦することで、楽な試合やオイシイ試合、勝負のバリューよりも巨大なバリューがあるわけでもない――そんな環境に足を踏み入れた彼が、ベルチャーを相手にローで足が前に出ない状態、眼窩底骨折をしながら、拳と気持ちだけが前に出続けた。そんな状況で見せた、最終ラウンドの大外刈りを思わせるテイクダウン。秋山のあの強い気持ち、最後まで勝負を諦めない精神力が、柔道で培われたものなら、自分は素直に『柔道最高』という彼のマイクアピールを聞けるようになる。秋山成勲は、最も気になるファイターの一人だ」

 

01位 11月07日 STRIKEFORCE ジェイク・シールズ×ジェイソン・ミラー

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「テイクダウンと抑える力、抑える力とフィニッシュ。この連動の妙技、MMAにおけるグラップリングの最高峰の攻防を見せるシールズ、耐えるメイハム。ポジションを許して、反撃の時に移るメイハムと、返されても下にはならないところで、ポジションを維持しようとするシールズ。4Rのチョーク以外、勝機はなかったメイハムだが、関節技には一発で試合を極める力があることを改めて、証明した。シールズは、そのアメリカン柔術と呼ばれるレスリングと柔術の融合で、その一発以外を封じ込めた。この勝負にシカゴのファンはブーイングを送り続けた。自分は北米のMMAなら何でも良いとは思っていない。米国のMMAだって、総合格闘技として、課題がたくさん残っている。けれども、ファイターが試合結果に対し、悔いの残る要素が日本より少ない――そういう状況を作るインフラが進んでいると思っている。あの試合でブーイングを受けたジェイクは、『だったら、どうすればいい?』と思っている違いない。と、同時に舌を出して観客を煽ったメイハムは、自分が圧倒的に負けていたことを誰よりも理解しているはずだ。そして、この敗北に関して反省はしても、悔いはそれほどない――はずだ」

 

スペースを相当使ったので、そのほかの私的アワードは続きとしたい。

 

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【 2009年12月23日 19:04 】

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