【Fight&Lifeコラム】NEW YEAR EVE/高島学

【最新号】Fight&Life vol.15

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なんだか、去年もこんな感じのタイトルで、ここのコラムを書かせてもらったような気がする(間違っていたら、スイマセン)。


今年の大晦日は、もう格闘技ファンの皆さんなら、誰もが知っているように
いよいよドメスティック・メジャー2つのプロモーションが協力する形で
Dynamite!!に臨むこととなった。


谷川さんは「一致団結」と言う言葉を会見で使い、
笹原さんは対抗戦を強調し、
両者の関係、共同開催的なことはあまり触れられていない。
一方で、国保さんが離れた戦極サイドから出席した稲村本部長という方は、
今大会を「共同参加」という風に言い表していた。


この間、メディアでは大連立と記したところもあれば、
合同開催と表したところもある。
合体、共演とするところもある。


合同とは2つ以上のものが合わさって一つになること。
合体は、2つ以上の物が一つになること。
合体という表現方法は、現状を見事なまでに無難にまとめている。
本当にどのようにも取られる表現方法だ。


無難に、そしてどのようにでも取られる表現方法が、大半を占めているのは、
メディアも情報不足だから。
そして、大晦日のイベントに実務として関わる人々も、
現状を理解できている者は、ほとんどいないと思われる。


そのなかで、思い切って大晦日のイベントと大連立としたメディアもある。
連立とは、
『いくつかのものが並び立つこと』という意味で
表面上は対等な関係が前提になっている。


何を根拠に、連立と表したメディアが、この言葉を使っているのか。
DREAMサイドと戦極サイドは、対等なポジションにあるのか。


そもそも、今回の大晦日の合体は、
両陣営が欠けているピースを求めた結果、実現したものといえる。


TV枠はあるが、
地上波プライムタイムに必要なだけの駒を揃えていないDynamite!!サイドが
世間に届くカードとして、戦極が仕組んだ
吉田×石井戦という試合を欲した――という表舞台の裏で、
これからを踏まえたスポンサーシップ獲得に動いたことは間違いない。


そう、現時点での情報不足、カオスといってもいい状況は、
大晦日に関系する多くのモノゴトが、
『今後』を踏まえて進められていることで発生している。
2010年の活動を踏まえたDREAM、そして戦極の資金繰り。


ドンキホーテの資金により、
連立から合体へ形を変えてDREAMと戦極が、交互にイベントを開く。
戦極を抜けた国保さんもまた、独自の大会を開く。


色々な噂が錯綜しているが、大晦日の合体が突然決まったように、
何が起こるか分からない――ことを売りにする格闘技界であるなら、
両イベントが、いつ消滅するかも分からない。


だからこそ、誰もが大晦日の成功を願っている。


だからこそ――ついででいえば、
だからこそK-1WORLD GPが目前に迫ったからといって、
大晦日の話題はなし――なんて、谷川さんも小さいことを言わずに、
格闘技界全体を俯瞰し、次々と話題を提供してほしい。


それこそ、谷川さんが口を閉ざすことで、Dynamite!!が新しい話題を提供できないなら、
大晦日はDREAM+K-1サイド、
つまりFEGがWVLを吸収したイベントでしかないことになる。


日本の格闘技界の浮沈を握っているのは、どう考えても大晦日。
その起爆剤になるのが、対抗戦であるなら、仕掛けは早ければ早い方がいい。
そうでなくとも、大晦日まであと1カ月、
リングに上がるファイターたちに好パフォーマンスを期待するのであれば、
早々のカード決定が、不可欠だ。

いずれにしても、対抗戦というのは、マッチメイクを考える上で最後の砦だ。
今後、対抗戦が年間を通して行われるのか、
年に一度の大勝負になるのか――、
どちらにしても、大晦日を大晦日だけに終わらせない、
次への期待が持てるラインナップが必要になる。


笹原さんによると、戦極勢の出場は対抗戦に限るとのこと。
谷川さんは、その対抗戦は5×5か、7×7だと明言した。
またまた笹原さんの言葉を引用すると、
イベント全体で18試合から19 試合が組まれ、
すでに魔娑斗の引退試合、×アンディ・サワー戦、
スーパーハルク・トーナメント決勝戦、
K?1甲子園準決勝×2試合と、決勝戦、そしてリザーブファイトと、
6試合が発表されている。


残り、12試合から13試合で、対抗戦は5試合か7試合。
吉田秀彦×石井慧戦も対戦確実というわけで、
対抗戦以外のカードは6~7試合、あるいは4~5試合組まれることになる。


TBSからすれば、戦極に関系するカードで欲しいのは、
吉田×石井のみ――に違いない。
対抗戦よりも、KID×所の方が必要だろう。
あるいはKIDの相手なら、所でなく渡辺一久、つまりこれまで自分たちの手で
お茶の間に存在を知らしめた者で十分。何も戦極のリングに上がっていた
世間では知名度の低い、実力者である必要性は全くない。


ただし、格闘技界の今後を踏まえると
DREAM×戦極を起爆剤にすることは不可欠だ。
対抗戦が、その他のカードを喰うようになれば、最高の年の瀬になる。


対抗戦によって、両プロモーションの通常のイベントを活性化させる。
そのためにも、KIDが辟易するような戦極サイドから刺客との対戦が見てみたい。
対抗戦は日本人中心という発言が囲み取材中にあったが、
これは何も日本人限定でなくてもいいように思う。


反対にせっかく名前を売ってきた、
そして恐らくは日本人よりも資金を投入してきた外国勢の価値を高めるために、
あるいは来年以降の活動が見えないのであれば、その契約を履行するためにも
日本人との対戦だけでなく、外国人対決も見てみたい。


特に来年3月に戦極が発表通り大会を開くなら、
そこで契約が終わりになるファイターが数多くいるに違いない。
北米でなく、日本での活躍を続けたいと希望するファイターは、
この大晦日でしっかりと自身の職場を確保するために、必死のファイトを心掛けるだろう。


と同時に、いつ北米に主戦場を移してしまうかもしれない彼らとの契約が残っている間に
トップ同士の潰し合いがあってもいいはずだ。
厳しく、いやらしいやりようだが、
北米プロモーションが手を伸ばさないよう、
商品価値を下げる手段をこうじるのもビジネス。


そんな大人のビジネス的作用などなくても、
エディ・アルバレス×ホルヘ・マスヴィダルの最強米国人対決など、
単純にイチ格闘技ファンとして見てみたいカードだ。


こういうことを書けば、すぐに北米かぶれなんて指摘を受けそうだが、
各々のプロモーションが、日本人最強決定戦でなく、
世界を取り込んだ活動を続けていく意思をもっているのなら、
それぞれのリングで、外国人選手と日本勢の対戦を盛り上げるためにも、
彼らの知名度を上げる必要は絶対にある。


仮にマスヴィダルが、アルバレスに勝ったら、
きっと廣田×マスヴィダルは、現時点よりもずっと注目度と同時に価値も
上がるタイトルマッチになる。


あるいはビビアーノ・フェルナンデス×マルロン・サンドロのブラジリアン柔術家対決、
大晦日に格闘技は見る必要ない――と思っている柔術家が、
こそっと見たくなるカードじゃないだろうか。
(そういう意味では、キックファンがこそっと見たくなるカードも欲しいところ)


もちろん、TV関係者は余りにも茶の間に縁遠いと感じるだろう。
ならば、体重問題をクリアにして、
ビビアーノ×金原、所×マルロンでもいい。
これらのカードが実現するなら、KIDはTBSが望む(であろう)渡辺戦でも、
格闘技ファンも納得できる(かな……)。


当然、敗者はその商品価値を失う。
プロモーション名を背負っている分、通常のファイトよりリスクは高い。
ただし、それが対抗戦の面白さ。
負ければその価値が暴落するというリスクがあるから、
対抗戦はヒリヒリした緊張感を持つことができる。


先の修斗×パンクラスのように、「結果的に良い試合だった」というのでは
対抗戦として持つべき本来の意味を失ってしまっている。


対抗戦とは、勝敗を考えると、当事者、関係者、
そして、双方のファンまでもが、恐怖を感じるようなリスクが必要だ。
緊張感のない――、対抗戦は意味がない。


勝敗によって、選手の価値、プロモーションの価値が左右される――のが対抗戦。
だからこそ、甲乙つけがたいという評価を得るマッチメイクの妙、
プロモーション・サイドの実力が求められる。


ヒリヒリ感のない対抗戦は、
お茶の間も、格闘技ファンも引きつけることができなくなる。
結果、魔娑斗引退試合と、吉田×石井戦の刺身のつまになってしまう。
いや、K-1甲子園やスーパーハルク決勝のつまにされてしまうだろう。


青木×ヨアキム戦が、大幅にカットされたように
TBSに必要な格闘技と、格闘技界の未来に必要な格闘技には大きな溝がある。
ただし、両者にはファンの興味、視聴者の興味という共通項があるのも事実。
話題先行路線では、TVコンテンツとしても長続きしないことは、
もう先刻、承知してもらっているに違いない。


格闘技特有のヒリヒリした緊張感を商売にしていく――、
格闘技を、世間を巻きこんだビジネスにしていく、
そのラストチャンスが、2009年の大晦日だと自分は踏んでいる。


この機を逃すと、勝負論で格闘技をビジネスにするには、
またまた大変な時間が必要になる。
あるいは、海の向こうの大樹に寄り添った、
米国主導のスポーツエンターテインメントの歯車になることを受け入れるしかなくなる。


大晦日が、日本の格闘技界にとって、線香花火の最後の輝きになるのか、
それとも、これから――への導火線となるのか。


なんにせよ、勝負論とエンターテイメントの狭間、中途半端な格闘技との付き合い方は、
今年で終わり――になるだろう。

 

 

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【 2009年12月03日 13:55 】

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