【Fight&Lifeコラム】Do Ginastica Natural as naturally/高島学



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4月30日午前9時45分――、

しっかり筋肉痛だけど、なんだか目覚めがスッキリしている。





M-1というちょっと、浮世離れした大会取材と打ち合せ、

ほぼ最終電車で帰宅の途に就いたため、最低限の仕事で切りあげ就寝。

睡眠時間は、いつもと同じ5時間半程度。





眠りに入り、3時間から4時間の間が3人の娘の起床と重なり、

度々、起こされるのも、またいつものルーティンのようなもの。





特にこの4月から幼稚園に通い出した娘が、初めての団体生活に怖気づき、

毎日のように「行かない」モードから泣きだし、これをなだめるために

しっかりと目が覚め、疲労感とともに二度寝に入るのも、変わらなかった。





それなのに、何だろう――今朝の爽快感は?





ここからは、何の根拠もなく、自分の思い込みだけど、、、その原因を探りたい。





ディファ有明で行われたM-1の前に、

吉祥寺のクロスポイントで開かれたジナスティカ・ナチュラルのセミナーに参加した。



ジナスティカ・ナチュラルは、
ホーウス・グレイシーの教え子で、
ヒクソン・グレイシーから黒帯を与えられた
アルバロ・ホマーノという人物が、
ヨガの呼吸法と、柔術の打ち込みのような動きを合わせ、
さらには動物の動きを取り入れ、クリエイトしたエクササイズのことをいう。


内臓――、お腹を自在に動かすヒクソンの呼吸法を
彼に伝えたと言われているのが、このホマーノだ。


以前、家内がマタニティ・ヨガを受けていた時に、
その効果(思いこみかもしれない――)に驚き、
いつか自分も実践してみたいと思っていたが、なかなかその機会がなかった。


どうしても、時間をやりくりして運動するなら、実際に動いている――、
そういう爽快感(自己満足ともいう)を求めてしまい、
静の運動といえるヨガでなく、動の運動を選択してきた。


今回、このセミナーに参加しようと思ったのは、
それはやはり柔術の動きが、エクササイズとして消化されている点と、
あのヒクソンの呼吸が気になったから。
そして最近、
少しだけ体力が戻ったかな(勘違いかもしれない)という自身の変化。


「息を吸うという動作は、誰も何も気にしなくても生きるためにやっているでしょ?
でも、息を吐くという動作は、そこに付随しているだけだから、
ヨガでは吐くことに意識をおいて、呼吸しているの」なんて、家内から言われた時は、
何を分かったことを――とシカトを決め込んだのだが、
ホマーノに、これと同じようなことを言われてしまった。


「疲れた時は、息を吸うんじゃない。息をゆっくりと吐き出すんだ」
ほとんどの人間は、呼吸というテクノロジーの70パーセントしか、
その機能を生かしきっていない。
人間が持つ動作に至っては、
そのテクノロジーの65パーセントしか、我々は使いきれていない。


そんなホマーノの教えを受けながら、
ジナスティカ・ナチュラルの基礎的な動きの指導は続く。
これが――、実はハードだと事前に聞かされていたが、想像以上にきつい。


呼吸と運動の連動――、それができない。
呼吸を忘れてしまう。
「息を止めると、体が固まり、滑らかに動けなくなる。
自分をコントロールできないということは、柔術でもMMAでも
相手にそれだけチャンスを与えることになる」


そう、ジナスティカ・ナチュラルの最大の特徴は、
戦うこと(も)想定している点にある。
エクササイズのなかに、エビの動き、ヒップエスケープが随所に組み込まれている。
自分たちがイメージしているヨガとの違いは、
動きが速い――ということ。


もちろん、自分の動きには無駄が多い。
そして、呼吸もできない。だから、必要以上に疲れるし、
どのエクササイズをしても、上腕と胸回りに負荷がかかっているのが分かる。


きっと、力の入れ過ぎだし、腕力と上半身の力に頼った動きをしているのだろう。
当然、動いてる間は無呼吸状態になってしまっている。


体の堅い自分だが、ホマーノの指導の下、
他の受講者さんの前で、呼吸を活かした柔軟をすれば、
自分が思っている限界点よりも、体はフレシキブルになることも実践させてもらった。
(凄いぞ、ジナスティカ・ナチュラル)


「次の動きは、足に負荷を掛けるので、ハードになるよ」
ホマーノの言うとおり、足がパンパンになった。


「力を使わないから、誰にでもできる」なんて謳い文句で、
格闘技を学ぶきっかけを与えようとする指導者は実は多い。


以前はなるほどぉなんて思っていた彼らのセリフも、
ちょっと人より深く格闘技と付き合っていると、
『俺らぁ、達人じゃないから、力を使わないなんて無理に決まっている』と
思えるようになった。


鍛練を重ねることで、力の抜き方を知っていくはず。
尖がった人間が、まろやかになるのも、とんがっていたからこそ。
格闘技だって、習い始めに力を使いまくるからこそ、力の抜き方を知る――、
それが真理だと思っている。


だからこそ、ホマーノの「ここは力がいる。力を使う。
でも、呼吸することを常に心がけるよう――」という指導は、とても説得力があった。


基本は自重を用いたトレーニングだが、彼自身はマシーントレーニングを否定しない。
また、本来は格闘技のトレーニングをする人間が、
コンディショニング・トレーニングの取り入れることで
格闘技の実践トレーニングの妨げになってはいけないことも、しっかりと認識している。


アイソトニック・コントラクションで、動いている満足感を得て、
アイソメトニック・コントラクションで、その上を行った充実感に浸る。


2時間近いセミナーの最後に、練習後の呼吸法の指導を受けた。
そのまま眠りにつきそうになるほど、居心地の良さ。
居心地が良いからこそ、「試合前に用いる呼吸法ではない」という指導。
体と気持ちの疲れを癒すからこそ、翌日も「練習しよう」という気分になれる。


たっぷりでなく、しっとりと汗をかいた後、長いM-1取材と、
厳しい現実を目の前にした企画会議――。
ヘトヘトになって帰宅し、海外の知人とのメールのやりとりだけ済ませ、
ホマーノに学んだ、呼吸法を(覚えている限り)就寝前にやってみた。


そのまま眠りに落ちた。


そして、この爽快な目覚め――。
自分は家族や親しい友人から、本当に単純な人間だと言われ続けている。
大げさでなく、今年一番の快眠を得られるなら、単純で良かったと思う。


ホマーノに「呼吸とは空気を入れること。東京の汚れた空気で、これだけ呼吸に気を使って良いのか? もっと自然のなかのきれいな空気を循環する必要がないのか」と、セミナーの終了時に尋ねさせてもらった・


「もちろん、空気はきれいな方がいい。
ただし、東京だろうが、LAだろうが、
そこにある空気を吸うのが人間の営みだ。
呼吸で重要なのは空気ではない。
空気を入れ替える、それはエネルギーの循環、
体のなかのエネルギーを入れ替えると、頭がクリアになり、精神がクリアになる。
循環しているのは、空気でなく、君たちの気持ちの持ち方、思考の在り方なんだ」


ジナスティカ・ナチュラルを体験した2時間で、
その本質に触れるなんて、虫が良すぎるし、そんなこと無理にきまっている。


ただし、自分の単純な思いこみの激しさが、
気持ちの持ち方、そして思考の在り方に好影響を及ぼし、
爽快な目覚めを引き出したのであれば、こんな機能的なことはない。
自分は、昨夜、ジナスティカ・ナチュラルの奥儀に触れた――なんて言ってみたい。


ムイト・オブリガド。メストレ・ホマーノ。

【 2009年04月30日 18:14 】

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