【Fight&Lifeコラム】Vale Tudo on FOOT/高島学

【Fight&Life vol.09】

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月曜日、Sカップを見た。
以前は後楽園ホール大会のたびに観戦し、山梨や大阪大会も取材していた
シュートボクシング。

 

その後、MMAやグラップリング中心の取材活動となり、
年に一度の試合観戦が関の山となって長い。
それでも、SBが今も気になるのは、
吉鷹さんというOBに技術解説をしていただく機会が多いこと。
(現役時代ファイナル・カウントダウンを聞くだけで、涙が浮かんでいた。
自分にとって、今も昔も比肩する者がいない――、いや金泰泳と並び、他に比肩する者がない最高の日本産のストライカー)

 

そして、自分が記者になった前後に
アマチュア大会で活躍した選手が、プロとなり伸び、SBを背負うよう成長していった。
一部は現役を退き、また一部はSBから離れ、はたまた一部は今もトップに君臨している
あの頃のシュートボクサー存在があるからだ。

 

「結婚した? なんで、結婚式に俺を呼ばへんねん。
神戸のやんちゃやったら、後輩みたいなもんやろ!
ちゃんと俺に祝させろや」

 

「子はかすがい。高島くんの住んでいるとこやったら、砧公園があるやろ?
あそこに連れて行って、遊んだりや。俺もよう行ったんや」

 

「高島くんな、ウチ向きの外国人選手を教えてや。
名前があって、強くて、んで、緒形や土井に一発でKO負けする選手を。なぁ?」
!!!!

 

「もっとウチの大会、見に来てぇや」

 

もう、何年も前にシーザーさんから頂いた言葉を、今も何かの機会に思い出す。
どんどん好々爺のようになっていくシーザーさんだけど、
ミットを持っていたときなど、現役時代、いや“やんちゃ”なんて言葉で
通じない青春の現役時代を思わせる眼光のするどさ、
鞘に収めた刀をキラリと輝かせるときがあった。

 

楽しそうにしていると思うと、急にちょっと怖いセリフがでてきたり、
気遣ってくれているようでいて、自らの色々な過去を思い出したように
遠い目になったり。

 

凄く男らしい一面を持ちつつ、最後に調子の良さを出す。
怖いのに茶目っ気がある――、
そんな同性からも異性からも好かれる一面を持つシーザーさん。

 

SBは、良くも悪くも、そして今も昔も、この頑固おやじの色合いが強い。
月曜の夜だって、アンディ・サワーの圧倒的な強さ、
宍戸&緒形の男気ややるせなさが漂いつつも、
結局はシーザー・ナイトだったように思う。

 

総合+グラップリングの記者として、高島学があの大会をみると、
やはり目が行ったのはクリス・ホロデッキーだ。
立ち技出身とはいえ、MMAファイターが
あの宍戸を相手にボディブローをぶちかまし、
ドローでもおかしくない判定負けは特筆して然るべき結果だ。

 

MAXにJZが出たような、異質な戦いでなく、
SBにMMAファイターが出ること――、
立ち技異文化交流は決して異質でなく、SBにとっては戦いの本質といえる。
立ち技全盛期を経験し、核となる部分にレスリングがある今のMMAには、
立ち技何でも有り――SBに対応できるファイターが、
以前よりもずっと多くなっている。

 

SB×MMAは、Sカップ以外のSBの大会、
SBの日常として、もっと定着しても面白いと思う。

 

んで、どんなMMAファイターがSBで戦うと面白いのか。

 

打撃ベースでレスリングを消化してきた選手、
今回のホロデッキーのようなファイターがまず考えられる。

 

前WEC世界ライト級王者ロブ・マックロー、イーブス・エドワーズなどが、このタイプ。
ただし、ホロデッキーもそうだったが、あまりにも手が合いすぎて、
異文化交流という意味合いは、薄れたものになる。

【ロブ・マックロー】
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シーザーさんが育てたシュートボクサーを投げ技で追い込むことができる
そんなファイターは、レスリング出身で打撃を身につけてきた者だろう。

 

来日の可能性という部分を無視すれば、
自分が楽しみなのは、ストライクフォース世界ライト級王者ジョシュ・トムソン。
打撃の完成度の高さでは、ホロデッキーに劣るが、
組み際に何かを見せてくれる――という部分では、
ワンダーボーイをずっと上回るミスター・パーフェクトだ。

【ジョシュ・トムソン】
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(C)Strikeforce

 

それ以上に期待できるのが、レスリングはレスリングでも
トムソンのようなフリースタイル出身でなく、
バックスローや、首投げを得意するのが、グレコローマン出身のMMAファイターだ。

 

イラン系のスウェーデン人ファイター、サミ・アジスというファイターがいる。
36歳という年齢はネックとなるかもしれないが、MMA5戦4勝1分1ノーコンテストの戦績を誇る彼は、SB出場経験もある阿部裕之をKOで下している。
このアジス、92年バルセロナと96年アトランタ五輪に出場しており、
シニアになってからは世界規模、欧州規模の大会で上位入賞はほとんどないが、
ジュニア時代には欧州選手権で2位、世界選手権で6位になっている。
近年ではスウェーデンのBTT系名門アカデミー=ヒルティ柔術で
トレーニングを積んでおり、
ギロチンなどをスタンドで使いことなすこともできるかもしれない。

【サミ・アジス】
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(C)Superior

 

正確にはグレコ出身とは言えないかも知れないが、
ケージフォース初代ライト級王者のアルトゥール・ウマハノフも、面白い存在だ。
HERO’SやDREAMのリングでの敗北、
パンクラスでのKO負けでその評価は凋落気味だが、
薄いオープンフィンガーグローブをつけることで、慎重になり過ぎていたそのファイトが、
ボクシンググローブと寝技がないSBで生き返ることは請け合いだ。
ケージフォース出場以前には、母国ロシアでSBに類似した
投げありキック+グラウンドでのパウンド有りという試合に出場しており、
豪快な投げを何度も決めていた。
来日経験があり、メジャーシーンから姿を消していることからも、
ウマハノフのSB来日は十分に有り――だと思う。

【アルトゥール・ウマハノフ】
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(C)GCM 

 

面白いところで、ナム・ファンなんていうファイターはどうだろうか?
現在、ボクシングの試合に出場しており、テイクダウンには決して強くないが、
飛びつき十字を得意としている、アグレッシブさが信条の柔術家でもある。
ナムのぶら下がり式の飛びつき十字は、
仕掛けた彼の頭部や背中がつく前に、相手の腕を極めてしまえば、
寝技ではなく立ち関節の範疇に入るはず。
首相撲に来た相手の腕を破壊するなんて、SBならでは攻防も可能だ。
ボクシングでもゴールデングローブに輝いている
打撃を怖がらない極め技師の出場は、SBにとって新しい異文化交流となる。



【ナム・ファン】
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ガード系のMMAファイターで、打撃がこなせるのは
GSPも練習を積む、グレッグ・ジャクソンMMA門下ドナルド・セラーニ。
もちろん、SBではガードワークは駆使できない。
ただし、セラーニの技術をもってすればナム同様に飛びつき系の技や、
スタンディングの絞め技を使いこなせるという期待が持てる。
そのうえ、セラーニは本格的なキックボクサーで
K-1やキックで29戦28勝1ドローという戦績を残しており、
フル・ムエタイ・ルールのS-1(懐かしい)US王者にも06年に輝いている。
殴り合い上等の関節技の使い手、セラーニは先日、先に記したロブ・マックローを下し、
WECライト級次期挑戦者と目されている。


【ドナルド・セラーニ】
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(C)ZUFFA

 

もう一人、面白い選手がいる。
ホセ・パラシコス。
レスリングと散打がベースのMMAグリーンボーイで、
クルクル戦法、足払い、首投げを得意とするところのカン・リー門下生、
ハリウッドスターとなり、UFCのファイトマネーですら首を縦に振らない
カン・リーが、セコンドとして来日するだけでも、
MMAファンの衆目を集めることになるのではないだろうか。


【ホセ・パラシコス】
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要は彼らを呼べば面白いということではなく、
彼らのようなファイターを招聘すれば面白くなるんじゃないかということ。
ただし、どんな選手を招聘しようが、その費用をドブに捨てるようなことがないよう、
運営陣には選手への指導、教育を徹底してもらいたい。

 

ポイントにならない足へのタックルでテイクダウンを奪い
「アグレッシブな攻め」と理解していたホロデッキー。
スタンドで肩固めを仕掛けられ、足をかけて倒すこともしなかった
デニス・シュナイドミラーなど、
体で覚える以前に、頭でもSBを理解していなかったのは勿体ない限り。

 

男前がいなくても、カリスマが存在しなくても、
ルールで許された攻撃と、ルールに基づく戦略で
エキサイティング&スペクタキュラーなシーンを産むことができるSBには、
これからも大きな可能性がある。

 

SBに必要なのは、倒、倒す、テイクダウンでなく、投、投げる、スローイング。

 

できれば、ハイクラッチや高くリフトした投げに関して、
背中から落とした場合は、シュートポイントを与えてほしい。

 

同様に、散打の選手が、高く持ち上げて落とした場合、
ムエタイの選手が、首相撲から体を翻し、
圧倒的なスピードとパワー、抜群のタイミングの足払いで、
対戦相手をキャンバスに叩きつけた場合、
そう技を仕掛けられた選手の足が頭部より、高い位置にあるような投げや崩しが
ポイントになれば――、シュートの部分がより際立つ。

 

それが不可能だったとしても、コンセプト、理念はできあがっていても、
いくらでも突っつきようがある現行ルール。
そんなSBルールの重箱の隅をつくような
攻撃を見せるファイターの出現を実現させてほしい。

 

そのためにぜひとも、来日外国人選手にはSB教育を施してもらいたい。

 

アンディ・サワーのボディブローに動きが止まりそうになっても、
投げの連発で勝てる。
それがキックボクシング、K-1でなくシュートボクシングの醍醐味なのだから。

【 2008年11月30日 16:42 】

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