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プロフェッショナル修斗のルールが改正される。
一つは、ダウンカウントの廃止。
もう一つは、寝技での後頭部への攻撃が禁止に。
18日の後楽園ホール大会で発売された修斗ニュースの
鈴木利治インターナショナル修斗コミッション事務局長と、
若林太郎・日本修斗協会事務局長の対談や、それに続く選手や指導者の感想を読むと
後者は、ほぼ何の異論もなく、誰もが了承したように感じる。
前者は――。
対談のなかで、常任理事会ですんなりと廃止の方向で話がついたと記されているけど、
これは、もう色々な立場の人が、いろいろな考えを持っていることは、想像に難くない。
記事によると、ダウンカウント廃止の提案はヨーロッパの修斗をリードする、
マルタイン・デヨングの提案に、各国の代表、日本の理事の間で話し合いを行い
決定に至ったとのこと。
(詳しくは修斗ニュースを購入することをお勧めします)。
「ダウンカウントがあると、ダメージを回復し戦いを続行するので、ダメージが蓄積されていくのではないか」という提唱が、その始まりだった。
鈴木さんと若林さんの対談のなかから、気になった部分を抜粋すると――。
「ダウンの方が危ないとか、ダウンを無くした方が安全だとかいうのは、ちょっと単純すぎるかなっていう気はします」
この鈴木さんの言葉は、その通りだと思う。
対談のなかにも記されているように、どちらが危険かは、データがない。
そして、どちらも危険なんだから、
一般道を時速30キロでシートベルトなしで走行、
時速120キロでシートベルトをして走行、どちらが危険か――って言っているようなもの。
要は「世界の総合格闘技界の趨勢がダウンカウントなしなんだから、それを安全面云々という話にすり替えるなよ」と、自分だって突っ込みたくなる。
桜田直樹・ガッツマン修斗道場代表が、
「修斗だけ、独自のルールでやっているよりも、世界の流れに乗っていった方が選手としてもいいんじゃないかと。どういうルールでも選手一人一人を強くしていくのが道場。ルールがある競技、“斗かいを修める”という精神的な部分で強くなる二つの面を持つのが修斗」と語っていたが、まさにその通りだろう。
桜田さんは、理想を失わず、現実を見据えることができる稀有な人物だ。
雑誌作りに置き換えても、実に見習わせてもらう点が多い。
もちろん、10カウントがあるから修斗というこだわりを持つのも悪いことではないし、そういう生き方ができる人も素敵だけど。
閑話休題――。対談に話を戻そう。
「ルールを決めるために重要なことは、競技的な正しさと安全性(中略)。
実際に運用しやすいかどうかという部分もとても大切なんです」という若林さんの言葉。
ダウンを宣言するタイミングの難しさや、ダウン制にちょっとした矛盾があったことは「ダウンをタックルで誤魔化すような展開に対しては、ダウンカウントがないほうが分かりやすくなりますね」という言葉に帰結している。
ダウンカウントがあるから修斗。
でも、ダウンカウントがあるから、打・投・極の回転にクサビが打たれていたのも事実。
以前から「ノックダウンはテイクダウンの一つ」という佐山さんの言葉があったし、
「スタンドの攻防だけ仕切り直しがあるのは、関節技が極まりそうな時にロープエスケープで逃げるのと同じで、不公平」という声を聞いたこともあった。
とにかく、安全性云々を修斗が追及し続けていることは、十分に承知しているので、
技術的に修斗らしさが見られるのかも――
という点で、ルール改正後を自分は非常に楽しみにしている。
6月8日から施行されているアマチュア修斗の新ポイント。
『極め』という部分に力が入れられることが、より明確となったことと相まって、
今、総合のフィニッシュとして絶対的に多い、打→ダウン→打(パウンド)から、
打→ダウン→極という流れが、プロ修斗で多く見られるようになると、
自分は期待している。
ダウンカウントがないからこそ、世の中の趨勢でパウンド決着が多かったが、
ダウンカウントがある状態から、ない状態にリスタートを切るシューターたちは、
ここで新しい概念を持ち込みやすい、マッサラな状態にあるのではないだろうか。
殴る方がてっとりばやく、パウンド決着だって増えるだろうが、
北米はおろか、他の日本の総合格闘技イベントと比較すれば、
流れるような関節技のフィニッシュが修斗は多くなる――と一方的に期待している。
と同時に、一つ、ちょっと気になることもある。
プロでダウンカウントがなくなることによって、
アマはどうなるのか。
アマもカウントがなくなるのか。
そうすれば、パウンドがないアマ修斗は、パンチが効くと終了になるので、
スタンドとグラウンドが、分断した競技になってしまう。
後楽園ホール大会後、若林&鈴木・両氏に確認を取ったところ、
アマではダウンカウントが続行されるとのことだった。
5カウントながら、ダウンカウントが引きつづき用いられると――、
これはこれで、プロとの間で、技術的な隔たりがでるように、自分は感じている。
プロでは、ノックダウンがテイクダウンと同じ意味を持ち、
ダメージを被った選手に、回復の時間が与えられず、試合は続行する。
そこに打・投・極の回転がある。
5秒未満という限られた時間であろうが、回復の猶予が与えられることよりも、
スタンドで再スタートが切られることに、問題が残るように思う。
もちろん、直後にテイクダウン狙いに切り替えれば、回転は続くかもしれないが、
技術的な流れが一度は、遮断される現実に変わりはない。
打・投・極の回転ではなく、打・投&投・極の繰り返しになってしまう。
今、総合で最も大切な組み、立力を軸としたなかでの際の打撃は、
プロになってから、本気で取り組むことになってしまうのか。
安全面の重要性を、ある意味、プロより厳粛に受け止める必要がある
アマチュアだけに、本当に解決が難しい、回転の分断現象だと思う。
ダウン宣言後、立ち上がるのでなく、間に割って入ったレフェリーに
ファイティング・ポーズならぬ、ガードワーク・ポーズを取る。
そこから試合再開なんてことも、考えられないこともないが、
これは机上の空論か?
決して、競技運用の点からも褒められた案ではないだろう。
あるいは、
一時期、試行された、アマのパウンド解禁を再び検討する必要があるかもしれない。
プロルール改正の発起人となったマルタイン・デヨング氏は
どう思っているのか。
後楽園ホール大会前にメールで質問を送ると――。
今、大阪にいるというデヨング氏(なぜ、大阪か、すぐに答は出るでしょう)から、
「アマ修斗に関しても、スカンジナビアの代表マルコ・レイステンとは既に話をし、
彼はこのままのルールでやるべきという意見を持っています。
もっと、色んな人間と是非を問うことになるでしょう。
フラッシュダウンで終わらせるべきではないし、
かといって、プロとの連動を考えると――。
正式なステートメントはすぐに出せません。
今の意見は私個人のもの。欧州修斗としては、今後もISCと話し合っていきます。
アマ修斗は、修斗に欠かせない重要なものですから」と返答が届いていた。
そう――。
10カウントがなくなろうが、修斗は修斗。
プロモーターの一存や、TV関係者の進言、花形選手の要望でなく、
ヨーロッパからの提案で、議題が上がり、ルールが変わる事実。
今後も変わっていく可能性があり、そんな構造が出来上がっている。
それが、それこそが、修斗なんだ。
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