【Fight&Lifeコラム】Fair Wind? Head Wind? /高島学


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UFC前夜に行われたTUFF N UFF。一見、普通のMMA大会だが――


「あの大会に出る選手で、一流のファイターといえるのはロビー・ローラーだけだろう。プライムタイムで戦う資格があるMMAファイターは他にいるよ」


「世間では、あれがMMAだと理解され、UFCやその他の大会も同じだと思われるのが
本当に怖いんだ」


フロリダ、ココナッツクリークにあるブラジリアン・レストラン。
某MMAチームのフィジカル・コーチ、打撃コーチと夕食を取った際に出た、
今週末のエリートXC、CBS大会についての台詞だ。



一流ファイターを多く出し、6月には自らがトレーニングするファイターも

王座挑戦を果たす彼らは、エリートXCに関して、

「CBSで中継される大会より、SHOXCや普通の大会の方がずっと良い」という意見を

持っている。




これは自分も同感。

老体に鞭打って、UFCからエリートXC、そしてWECと取材する予定で、

飛行機が少しでも遅れると、WECのスタートに間に合わないスケジュール。

エリートXCはパスした方が良かったのかも――、

いや、そういう大会だからこそ、目にしておくべき――と葛藤がある。





冒頭の二人の言葉、そこには――。

ようやく、ビジネスになったMMAで、その恩恵を与ることができるファイターが、

自分たちが育てている本格派でない憤りと、またその影響力の大きさにより、

ようやく手にした恩恵を失うかもしれないという恐怖が入り混じっているように感じた。





先週末に観戦したUFC84。

ライト級世界戦がメインで、14700人以上のファンの集客。興行収入は凡そ4億円弱。

全11試合、PPV、プレリミナーともに見どころ満載のラインナップは、

ホウジマール・トキーニョの腕十字、

リョート・マチダの距離の作り方、

吉田善行のアナコンダ、ゴラン・レジックのカウンター、

BJの左ジャブ、

オクタゴンで見られた攻防は、やはり世界一。

留まる事を知らないかのようなUFCの勢いが、十分に感じられる大会だった。





なんせ、大会前日に行われた計量に3000人近いファンが集まる。

UFCの隆盛が、他にも伝播してほしい。

そんな想いが、エリートXCがこけてしまうことの恐れを呼ぶ一方で、

UFCブーム、それがMMAブームとして底辺の拡張を着実に行っている――、

そんな事実に触れることができた。





UFCファンが盛り上がりまくった計量から2時間、

MGMからストリートを隔てた

トロピカーナ・ホテルのボールルームへ。





そこでは

TUFF N UFF(タフ・イナフと発声するみたい)ファイティング・チャンピオンシップ、

「フューチュースターMMA」という大会が行われていた。





2分×3R、全18試合。

奥行きのある会場には4つのスクリーンが用意され、

チケットは25ドルから75ドルまでの3種類。

バーカウンターや、グッズ売り場も大盛況だ。




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アマチュア大会とは思えない会場内の雰囲気。





スポンサーが十指を数えているこの大会、

もちろん、出場選手は無名ファイターばかり。

ばかりか、全てアマチュアでファイトマネーは支給されないという。




ファイトマネーはないが、エントリーフィーを支払う必要がない

そんな状況で、パウンド有り、スタンドでも顔面への二ーは禁止、

エルボーは全面的に使用禁止というルールに挑んでいる。





18試合中、8試合に所属選手を出場させた

エクストリーム・クートゥアーのプロファイター、

デンマーク出身のマーティン・ケンプマンは、「僕はデンマークで、パウンドなしのアマチュア戦を経験してきたけど、こっちはアマもパウンドがあって凄いね」と苦笑い。





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身内率の高い観客席は、寝技の攻防でも大いに盛り上がっていた。





とはいっても、TnUを主催するベリー・マイヤーは94年からキックの興行を始め、

これまでにもADCC北米予選(エディ・ブラボーが優勝した大会)、

プロ修斗ラスベガス大会

(ジョン・フィッチ×ショニー・カーター、ハビ・バスケス×ロブ・エマーソン)、

ボードッグ・ベガス大会――、

などを開いてきた列記としたプロモーター。





アマチュアの大会とはいえ、ドクターが3人配置され

ルールはKICK INTERNATIONALのアマチュアMMAルールで、

ネバダ州アスレチック・コミッションの認可を受けて行われている。





昨年12月にアスレチック・コミッションから認可を受け、

初めて、同州でアマMMA大会を開催した。

今後は月イチから6週間ごとの大会開催を目指す。





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女子戦も2試合行われた。





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ラウンドガールが、スポンサーTシャツを観客席に投げいれる。





試合のレベルは、やはり前半戦はそれほど高くはなかった。

パウンドを使って戦っているが、

日本では「パウンド無しかな」と思う選手もいたことも事実。

ただし、中盤戦以降に出場した選手たちは、

ファイトマネーが支払われないのが、気の毒と思わせる選手も多く、

完全に普通のローカル大会のプロレベルにあった。





とにかく、出場選手の今後に賭ける気持ちが、伝わってきた。





会場はストリップに面したホテル。

ビデオ撮りがあり、それぞれに入場曲がある。

観客の乗りの良さ。

パウンドがある、緊張感。

プチUFCファイター。

そんな高揚感が、ファイターにモチベーションを与える。





ファイトマネーはないが、選手には遠征費とホテル代は支払われるアマMMA、

その是非に関しては、いろいろな意見があるだろうが、

自分はUFCの計量会場以上に、このTnUが行ったアマチュア大会に

米国のMMAの勢いを見たと思っている。





一方では土曜のプライムタイム地上波全国ネットで

キンボやジーナ・カラノが中心となったMMAショーが行われ、

方や、ラスベガスでアマMMA大会が行われ、

1500人の観客が集まる。





底辺拡大、そこにはベリー・マイヤーが14年のプロモート業で行きついた

一つの結論がある。

そして、MMAが成長する、正常進化の過程として、

必要な形を見た――と自分は思う。

それが5月23日、金曜日の夜に感じたこと。





そして、頂点の伸長がCBS中継であるとしたら――、

5月31日、Saturday Night Fights後に自分は何を想っているのだろうか。

ちょっと、不安――だ。







【 2008年05月30日 18:30 】

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