ヒクソン・グレイシー杯国際柔術大会2008
2008年5月5日(月・祝)浜松アリーナ
2月に発足した全日本柔術連盟(JJFJ)、いわゆる“新連盟”にとって第一回大会ともいえるヒクソン・グレイシー・カップが、静岡県浜松市の浜松アリーナで行われた。
ヒクソン&クロン・グレイシー親子も来日し、日系ブラジリアンの街として有名な地域だけあり、アナウンスも日本語よりもポルトガル語の方が耳触りがいいトーナメントとなった。
ゲスト参加といえるアンドレ・ガウバォンとエドゥアウド・テレスのブラジル黒帯勢は、さすが世界のトップとして、日本の柔術家との力の差を見せつけそれぞれの階級で優勝、無差別級でも一騎打ちを行ったが、大会中、一番の注目を浴びたのはヒクソンの息子クロン・グレイシーだ。茶帯メジオ級&無差別級に出場したクロンは、全8試合で一本勝ちを収め、2005年の紫帯時代から数えて、道衣着用の試合はすべて一本勝ちという記録を継続したまま大会を終え、その一挙手一投足に会場中が注意を払うなど、存在感は黒帯トップ以上だった。
アンドレ・ガウバォン勝利。
まずは無差別級に出場したクロン。初戦をスタンドの十字絞めで勝利すると、続いてアクシスの北原暢彦と対戦。三角絞めとガードワークに定評のある北原の足を簡単に越し、パスを嫌がるところでバックマウント奪取。送り襟絞めでここも圧勝。続く試合でも、開始早々にふた回りは大きな対戦相手を一本背負いで投げ、そのまま腕十字一閃。決勝戦進出を極めた。
クロンvs北原。
特別な技はない。いうなればベーシックな技を、確実に決めるクロンの動き。この日は卸したてのマットが使われたため、滑りやすくバランスを崩す選手が大挙するなら、クロンに至ってはまったくバランスを崩すこともなく、まるで腰からマットにかけて地に根が生えたような安定感を誇っている。
クロン・グレイシー。
無差別級の決勝を前に、本来の階級であるメイジ級トーナメントに出場したクロンは、ここでも初戦を簡単に送り襟絞めで一蹴すると、二回戦も担ぎパスから一気に腕十字を極め秒殺勝利。準決勝では先の全日本ブラジリアン柔術茶帯メジオ級を制した中澤大輔との対戦となった。
向き合った者にしか分からないクロンの佇まいに何かを感じたのか、引き込んでから動きが止まってしまったかのように、中澤は足をさばかれ、パスさせまいとエビで逃げれば、直後に体をまたがれバックマウントを許してしまう。しっかり首を守っていた中澤は、クロンはここで襟を使わずに裸絞めへ。その姿は道衣こそ羽織っているが、かつて父ヒクソンがバーリトゥードで何度も見せたフィニッシュを彷彿させるものであった。
決勝の相手は、アライブ・アカデミーの細川顕。昨年の全日本ブラジリアン柔術茶帯レーヴィ級優勝者だ。スタンドで細川は組み手の強さを見せると、クロンはここで自ら引き込んでガードポジションへ。直後に仕掛けた十字絞めこそ極めそこなったが、すぐに軌道修正し、三角絞めへ。立ち上がって頭を越そうとした細川だったが、クロンは足に絡みつき頭を引きつけると、そのままタップを奪う。まったく危なげなく4つの一本勝ちを重ねて、メジオ級を制した。
クロンvs細川。
ヒクソンが、参加アカデミー名をすべて読み上げ、今後の同連盟の豊富を語ると、続いて無差別級決勝戦。総合でも活躍するエジムンド・カバウカンチ・ジュニオール、ヘビー級の相手にもクロンはひるまずガードワークから関節技を仕掛けていく。しかし、体重差20kg以上の相手は体力の違いを見せつけるかのように腕を引き抜いていく。それでもクロンはスイープや、テイクダウン、パス、そしてマウントを奪取し、11-0と圧倒的な差を築いていく。一本負けから逃れることに集中するカバウカンチと、何が何でも一本を狙う姿勢を崩さないクロン。残り時間が刻一刻と少なくなっていくなかで、クロンは見事なスイープから腕十字を極め、1日8試合、すべての試合で一本勝ちという快挙を成し遂げた。
「黒帯? 僕はまだまだ学ばないといけないことが多い」というクロン。父ヒクソンも「テクニック的には問題ない。しかし、経験が不足している。ムンヂアルで優勝すれば、黒帯をあるだろう」と、少なくとも6月にLAで行われる世界大会まで黒帯昇格はないことを明言した。
クロン旋風が巻き起こったヒクソン・グレイシー・カップ、最終試合は黒帯無差別級決勝戦であガウバォンが、かつての師匠に当たるエドゥアウド・テレスからアドバンテージ5-2で勝利を奪い、JJFJの第1回大会のトリと務めた。
「茶帯の優勝は、良い茶帯の証明であって、黒帯になれるという意味ではない」。
【告知】
Fight&Life vol.07(6月20日発売予定)でヒクソン・グレイシー インタビューを掲載。新連盟立ち上げ、そして黒帯の資格について尋ねています。
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