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(一部の)格闘技がスポーツ新聞紙上で扱われるようになって何が変わったかというと、記者会見の数。以前と比べて、会見の数の多さは比較にならない。
ネットNEWS媒体はともかくとして、専門誌のサイクルにはまるで適さない日々の会見は、それだけ専門誌が(一般のファンを相手にして)宣伝媒体にならない――ことの表れかもしれない。
それでも、記者として欠かせない重要な発表や、周辺取材のお願いをする人間関係もあり、自分も顔を出す場合がしばしばある。そんな格闘技の記者なら、出席して当然という先週の記者会見に――、締め切りの都合(自分が勝手に遅れていただけですが――)で出席できなかった。
もちろん、DREAMの会見だ。
PRIDEとHERO‘Sの大部分的な合体は、2年前の格闘技人気の復興を願う者の、希望の星。まさに夢の続きといえるだろう。もちろん、大々的な発表の裏には、数々の調整が必要だっただろうし、今後も必要になるに違いない。
夢うつつでなく、しっかりした現実とするための各部の調整が――。
「何かが変わるのではなく、新しいイベントに」と笹原氏から発言があったようだが、その新しいイベントに対するPRIDEファンのPRIDE再現の思いは強いはず。FEG、TBSという母屋をのっとるようなPRIDEファイターの活躍を彼らは願ってやまないに違いない。
一方、HERO‘Sファン(という存在が格闘技という括りのなかにあったか定かではないが)、HERO‘Sの視聴者は、この合体をどう思うのか。
市川崑監督の突然の訃報により、翌朝のスポーツ新聞の表紙を飾ることがなかったDREAMの発足会見。果たして、訃報がなくとも、中田翔や岡田JAPANにDREAMは割って入ることができたのだろうか。遼君、真央ちゃん、愛ちゃん、桃子と、今の日本の格闘技界は渡り合えるのか。
つまりHERO‘Sが視聴率を獲得するには、そういう移り気な人々の興味が必要だったということ。HERO‘Sの特色は、ある意味でその潔さにあった。格闘技云々でなく、TVコンテンツと割り切っていたことだ。記者として、賛成できる立場ではないが、体重差対決や曙、ボビーの参戦が世間の注目を集めたことは間違いない。
例えば、石田×メレンデス、川尻×アゼレドという年末の熱戦は、Dynamite!中継なら、スルーされる可能性が十分にある。
HERO‘SからDREAMになっても、これらの実力者対決が見送られるということになれば、それはもう、PRIDEを見て育った格闘技ファンはDREAMを許さないだろう。
格闘技ファンと視聴者、TBSの判断、FEGの舵取り、元DSEスタッフの思い入れがどのような形でTV画面に伝わってくるのか――、なんてことは、まぁ、自分では語るに落ちない問題なので、このへんで切り上げたい。
DREAMが夢の合体なら、単純に強い者同士の対戦が見られるという部分で残りの3名は誰になるのか。そういう目線で、イベントに乗っかった部分で、単純に自分が見てみたいは北米キャリアの参戦だ。
カルバン以外、強豪だが、北米キャリアに当てはまるのは3月29日に全米中継が予定されているストライクフォースで、ホルヘ・マスヴィダルと対戦する噂があるギルバート・メレンデスのみ。
残り3人の枠にズッファ系ファイターの参加があれば最高だが、まずないに違いない。プロ・エリートとFEGのラインが残っているのなら、独特な格闘技観を持つEXCから、KJ・ヌーン、エディ・アルバレスの参戦を期待しつつ――、現実問題としてシャオリン・ヒベイロの勇姿は、絶対に見たい。個人的なところでは、本人の参加意思云々は別にして中蔵隆志の参戦を望みたい。
現役修斗王者が、修斗のリングで実現できないかつての王者への憤りをDREAMの舞台でぶつけてほしい。大連立の修斗勢の参加は、河内さんと過去の試合映像以上を望みたい。 ところで、ファンの立場、大会の動向を報じる立場からすると、DREAMはまさに夢の舞台だが、参加選手にはそんな華やいだ雰囲気に浸ることはできない――、シビアな現実が、ぶつけられることもまず間違いない。
自分がなぜ、北米のMMA贔屓、MMAワールドを支持するのか。以前はUFCがオリジナルだったからだが、最近は実力が拮抗したマッチメイクが多い、この一点に尽きる。もちろん例外もあるが、その強さの部分を基調としたスカウティングが主流だから、だ。
対する日本のビッグプロモーションでは、PRIDEもHERO‘Sもそうだが、GP制を用いることでシビアなマッチメイクを成立させてきた。逆にいえばトーナメントでないワンマッチでは、ファイターはシビアな対戦を嫌がる傾向が確実に生まれてしまう。この傾向は、中堅以下のプロモーションにも見られる。いわゆる「おいしいマッチメイク」を好む選手が増えたということ、だ。選手の立場を考えれば、理解できる。UFCでは中堅以上のファイターは、一試合で数万ドルに及ぶファイトマネーを手にし、3試合基準の契約が可能になるから、彼らはこのようなマッチメイクを受ける。ナショナルTVで自分の姿が流れるのだから、波及効果もある。
一桁少ない額で戦う多くの日本人ファイター、彼らがようやく注目されるようになると、さらに上を目指すために――、あるいは上にたどり着いたのだから――という理由で「おいしい勝負」を望む者が多くなるのも当然だ。(だから、自分は少数派を尊く思う)
そして、日米のMMAでは徐々に実力差がつき始めている――と自分は考えている。
で、DREAMだ。GP制をいきなり用いた。青木真也×JZ・カルバンという夢の一戦を実現させる。格闘技ファンなら、誰でも見てみたい一戦だ。
青木絡みの試合は、どれも新鮮で興味深い。カルバンもそうだ。青木とカルバンはGPでなくても、ワンマッチの連続でも、見たい試合だらけのファイターだ。
その二人が一回戦でぶつかるからこそ、DREAMなわけだが、果たして16名という参加選手、その他の参加選手にファンは夢を見ることができるのだろうか。
単純にGP参加選手の半分、8名が1回戦で姿を消すことになる。員数合わせのために、夢の舞台に引き上げられたファイターはいないだろうか?
そんななか、宇野薫に注目したい。HERO‘Sを主戦場に選んでから、彼は70キロの総合格闘家として、実力の尺度を測る試合を、国内の選手を相手に行うことはなかった。永田も、所も、KID戦もこれには当てはまらない。海外勢にしても、シャオリンという尺度を破ったカルバンが相手だった試合、ほとんど注目されなかったリッチ・クレメンティ戦ぐらいしか、格闘技界における実力測定の場をもってこなかった。
もちろん、青木との対戦は誰もが見たい一戦で本人も望むところだろうが、プロ修斗で一度は分けている川尻との再戦や、石田&朴ら国内勢との対決は――。個人的には凄く興味があるが、これらの試合に対してTVの前に座るファンの需要はあるのか。
トーナメントという性格上、その対戦実現の可能性はもちろん、ある。ただ仮に実現した場合、宇野が選択した一般層といわれるファンたちの関心度は低く、試合内容はこれまでの3年とは比較にならないほど厳しいものになる。そこに新しい宇野薫は生まれるのか。非常に興味がわく。
川尻、石田、朴は宇野以上に厳しい状況に置かれるだろう。ある意味、実力社会で挫折を経験しながら打ち勝ってきた修斗出身の彼ら3名、川尻&石田は、PRIDE問題の方がつくまで1年の間、古巣に上がることがなかった。
ファンの間ではPRIDE、あるいは武士道ファイターというイメージが強い。
ケージ・フォースで海外を目指すと断言していた朴は、その「武士道ファイター」に敵意すら感じさせる発言を残してきた。朴×武士道勢の対戦も自分は楽しみだ。が、元修斗対決がファンの間で歓迎されるとも限らないし、何よりも、TV視聴者に、彼らの歩んできた格闘技人生の重さを伝わるような取り上げかたをTV局がしてくれるのか――。
MAXに参加した各キック団体のトップの取り上げ方を観てきた者として、不安を感じないわけにはいかない。
夢の続き――KID、ミドル級GP、ミルコに続くPRIDEベテランの復帰はあるのか、等々――を待ち続けたファン、そして当事者たち。
この夢が現にならずとも、彼らが興味を持てる、生きていける格闘技界にする――DREAMが上手く回転することを望む一方で、その努力を絶やしてはならない。
ここ2年で我々が学習したことを、今一度、思い出す必要がある。
DREAMに関して、心配したくなる部分がある――のは、期待の裏返しだが、その2日後に開かれた会見(これも出席できなかったが)に関しては、開催自体に首を傾げざるを得ない。
前田日明氏が提唱した不良を集めた「THEOUTSIDER(ジ・アウトサイダー」というアマチュア大会のことだ。
アマチュア大会が増えることに関して、主催者が何者であろうが、自分に異論はない。映画監督が大会を開いてくれようが、寿司屋の大将がトーナメントを開催してくれようが、格闘王という異名を持ったプロレスラーが開こうが――、安全面を考慮してくれれば、大歓迎だ。(それがアマ大会の少ない地域なら、なおさら――だ)
今や時代は変わった。総合格闘技をある程度まで安全に行うことは、以前より容易くなっただろう。だから、協力者の存在によって、アウトサイダーも試合自体は安全に行われるに違いない。
ただ、この大会のコンセプトがもう、自分からすれば理解できない。ナンセンスと表現してもいいだろう。
不良を集めて――?不良って、何を基準に不良というのだろうか?不良という限り、10代の若者が含まれているに違いない。まさか30代の不良なんて――、それじゃ不良じゃすまない、社会の落伍者だ。で、不良だろうが、優等生だろうが、10代の体もできていない若者にマウントパンチを許すというのだろうか。 試合自体もそうだが、曖昧なコンセプトが気になる。
「プロモーターとしてみると、実力も大事なんですが、選手に華やカリスマ性があるかどうかが問題。不良連中は、それを持っているし――」
アマチュアの大会を謳って、華やカリスマの必要性を問う姿勢が理解できない。
前田氏が観戦し、いたくその存在意義を感じた天下一武道会という大会を自分は知らなかったので、その大会をもってして、アウトサイダーのプリンシパルを語ることは出来ない。
ただし、氏がその一大会をもって、日本のアマチュア格闘技界について言及しようというのであれば、自分は反論させてもらう。
修斗でアマチュア活動を行ってきた人々、柔術、グラップリング、全局面空手の大会開催に関わってきた人々に対し、このうえなく失礼な発言だ――と。
氏のような有名人がアマチュアに着眼し、実施してくれるのはありがたい。ただし、アマチュアの現状をどこまで理解し、会見で並べた言葉を発しているのか――疑問が残る。
この大会の先に何があるのか?
これは不良の更正プロジェクトなのか、それとも日本の総合格闘技界の底辺拡充の一手なのか。
誰だって、生き残る努力をすることを否定しない。ただし、それが格闘技と名乗り、格闘技の普及から距離が感じられるもの、真摯に格闘技と向かい合っているものに不利益をもたらす可能性があるのなら、ビッグプロモーションもアマチュア大会も、自分には同じ――こと。そんな格闘技という名だけの一人歩きは、必要ないと発言させてもらう。
DREAMのライト級GP参加者、今回発表された13名のなかにアマチュア修斗を経験した者が、実に5名(カルバン、川尻、石田、宇野、朴)にのぼることを氏は理解しているのだろうか。
中国やロシアのことを例に出すことは結構だが、その前に日本の格闘技界のことを、しっかり知ってほしい。
【 2008年02月19日 15:53 】
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