【コラム】フューチャーキング・トーナメントから1週間/高島学

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DEEPフューチャーキング・トーナメントから1週間経った。濃密なトーナメントだった。優勝したメンバーは、既に格闘技サイトで報じられており、きっと、これから発売される専門誌で取り上げられるだろう。
clubDEEP東京&フューチャーキングトーナメント全国大会」の大会結果はこちら!

優勝したファイターだけでなく、
優勝を逃したファイターにも、思わず唸らせられるファイターがいた。
レベルの高いトーナメントだった。


考えさせられることも多かった。


以前から思っていたことが再確認できた部分も多い、
かつ、その確認できた部分が物事の核心をついている自信も、またない。


この1週間、僅かといえども、そのことに考えが及ばない日はなかった。
でも、結論はでていない。


日本国内の総合格闘技の試合を見直した、
北米MMAの試合も、いくつも見てみた。


やはり、そうだ――と、自分は思うのだが……。


どうすれば世界に勝てるのか。
どうしたら、世界の舞台で総合の練習をしている者が大金を得ることができるのか。


それは強くなること。試合に勝つこと。


面倒な面はいろいろあるとしても、まず強くあれば、道は開ける。


勝てば、次が見えてくる。
そして、頂点に立てば、ジャンルを代表する人間として、
それに相応するファイナンシャルを得ることができる。
そんな場は、日本でなく北米だとしたら――。
本当に、総合の勝利のメソッドは、このままで良いのか。


そして、そんな志を持つ選手たちにとって、
その力をつける場はどういう大会なのか。


その場となるイベントで、日本の総合はビジネス的に成立するのか。


その場に出場できるようになる、そんな結果を出さないといけない
ステップアップ・カテゴリーは、今の日本に存在するのか。


フューチャーキング決勝トーナメントに出場した選手は、
予選大会を経験していることもあり、パウンドの経験者ばかりだ。
だから基本、プロの試合が初めてというわけではない。


それ以前のキャリアの積み重ね方は、人それぞれ。
クラブDEEPで試合をしたことのある選手、
アマ修斗地方選手権の優勝者、
首都圏の総合のイベントで、試合経験を積んできた者、
首都圏外の総合のイベントで、試合経験を積んできた者もいた


トップになるために、トップを狙う選手が出場したトーナメントで
自分の想像の範疇を越えた部分で、驚いたことが二点あった。


一つは想像以上に打撃ができる選手が、多かったこと。
これは勝ち上がった選手たち(76kg級を除き)に顕著だった。


赤尾セイジ(NEX)
赤澤誠(総合格闘技BURST)


釜谷誠(CMA京都成蹊館)
LUIZ(禅道会)


タックルの対処が、よりしっかりしていたのは、上記2名。
倒れない、そして打撃を入れる。
さらにいえば、赤尾は自らタックルを仕掛け、攻勢に出ることもできた。
パワーに溢れ、なかなか入り込めない。そんなプレッシャーを赤澤は持っていた。
そして、抜群のフィジカルの強さ。
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↑優れたフィジカル、レスリングを持つ赤尾。

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↑赤澤は寝技を凌ぎ、ヒザ蹴りで柳澤を下す。

スタンドの打撃の鋭さでいえば、下記の2名。
LUIZも釜谷も、赤尾&赤澤と比較すると、
腰高のスタイルで、打撃の回転数が高かった。


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↑LUIZはスピード十分、今後の注目のファイター。

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↑ハイキックも多用した釜谷。

LUIZは、飛びつき十字という飛び道具で敗れたが、
初戦を見る限り、倒された場合の対処も十分に対抗できるように見えた。
釜谷はテイクダウンされても、そこから立ち上がることに長じていた。


トーナメントを通して、何度も見事なスタンドの攻防が見られた。


もう一つは――、
上にあるようなポジティブな印象じゃない。
1回戦で敗れた選手に見られた、寝技ができない――ということへの驚きだった。


想像の範疇を超えたという点では、同じでも
後者の方は、信じられないという表現を用いても良いほどだった。


寝技といっても、ここではディフェンス能力、
自らの身を守るポジショニングを指す。
決勝――という名称がついた大会で、、、
致命的になるようなポジションを、やすやす許す選手たち。


パウンドで殴られても、驚くような気持ちの強さを見せ、耐えることができるのに
ポジションは呆気なく取らせてしまう。


このトーナメントに限らず、日本の総合は
アマ修斗から(去年の4月を最後に見ていないが)、年末のDYNAMITE!!まで
倒れずに倒す、倒しに来られたら、
それを切って、打撃で返すことが勝利の基本原則になっている。


少し前までの北米MMAベーシックといっても過言でないスタイル。


自分は、このスタイルでは、日本人は北米の選手に勝てない。
米国人には勝てないと思っている。


なぜか、アベレージとして、
ボクシングもレスリングも、米国の方が元から上にあるからだ。
あのスタイルで勝てる特別な存在――、
それは山本KID徳郁、、ぐらいなものか。


KIDは、特別だ。
だからこそ特別な才能の持ち主を真似ても、どこまで強くなれるのか。


一見、川尻達也のスタイルもそのように感じられるかもしれないが、
彼の場合、自分より寝技のできる相手に勝つために、今のスタイルの原型ができた。
努力に努力を重ねた、結果だ。


石田光洋は、倒して勝てる数少ない日本人だと思う。
ギルバート・メレンデスを相手にバックを取り続けた。
タックルをしかけ続けた。
あのスタミナ、あの意思の強さ――、誰もが持っているものではない。


川尻のスタイルも、石田のスタイルも、彼らだからこそ、可能になる。


今成正和が変わっている――、独特なスタイルだ――、
青木真也の極め重視のスタイルは、他に類を見ない――、
なんて良く耳にするが、今成や青木と同様に、
川尻や石田だって、十分に特別だと自分は思っている。


そして、川尻も石田も
下になっても、抜群のグラップリングの技術を持っているし、
上をとると、殴りだけじゃなく、サブミッションで勝つ術を有している。


殴る、蹴る、
その防御、
パウンド、
タックルの防御、
タックル、
寝技の関節、
寝技のポジショニング
関節技の防御、
ポジショニングの防御


下に行くほど、精度が低くなる。
近年プロ・デビューを果たした総合のファイターを見ていると、
このように思えてならない。


そして、防御の項目を省くと、
判定基準は上からの順になっている。


寝技のディフェンス――、
ホイスを見て、総合に興味を持った世代は、
まず、自分の見を守る――という概念を今も持つことが多いだろう。


スキーをするとき、まずは止まり方を学ぶ――なんてことにも似ている。


それが、いきなり滑降させる。
そんな指導をしているところがあるように感じる。


身を守る術、そこを切り崩す技――、
日本の総合は、もう少し寝技の展開が増えないといけないのでは。


ポジションを一方が取っている状態で、
ブレイクが入るのは厳禁にした方が良いのではないだろうか。


倒れずに勝つ、判定基準がスタンドの打撃により過ぎると、
この国内事情に合わせて、
勝ち上がるために、寝技軽視が続いてしまう。


柳澤雅樹(パラエストラ東京)。
65kg級準決勝で、赤澤のヒザ蹴りで敗れた彼の組み技に、
勝者は何度も転がされた。

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↑柳澤は数少ない下から仕掛ける選手だった。


柳澤は、フィジカルと打撃が赤澤に劣っていた。
もし仮に、打撃が劣っていても、フィジカルが対等だったら――。


なぜか、柔術系の寝技を駆使できる選手は、フィジカルが強いというイメージがない。


もし、寝技に重点が置かれた総合が増えれば、
そこで勝ち上がるために、
仕留めるグラウンド・ワークを持つファイターのフィジカルが上がり、
グラウンドのレベルも、同様に上がるのではないか。


タックルを切って、上を取ることができる選手ばかりが勝つ。
グラスルーツ、ステップアップ・カテゴリーがそうだと、
スタンドでパンチを当てることができる選手しか、
プロという場に立てなくなってしまわないか。


一方のファイターがスタンドで、もう一方のファイターがグラウンド。
ブレイクが掛かり、スタンドからの再開になるが、
スタンドとグラウンド、再開が交互になるルールがあってもいいかもしれない。


北米に勝つには、北米の人間より、
勝った部分で勝負した方が良い――。
それが寝技だと断言はできないが、
打撃とレスリングより、その可能性は高いはず。


だからこそ、今の画一的な勝利の方程式を見直す時期が来ている――と思うのだ。


かといって、相手がブラジル人になれば、勝機は打撃かもしれない。


寝技重視で、観客の喜ばない試合をしては、プロモーションが廃れ、
格闘技界がさらに凋落してしまうかもしれない。


以前、ブラジルのバーリトゥードではスタンドの展開が続けばブーイングだったが、
今のブラジルのMMAは、スタンドの殴り合いが大歓迎されている。


北米に勝つ、北米で世界に勝つ――、
日本で世界に勝つ――、袋小路にはまって答は出ない。


答が出ないからこそ、真剣に考える必要があると思う。





【 2008年01月23日 14:13 】

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