【コラム】コンバットレスリングとパンクラチオン/亀池聖二朗

文=亀池聖二朗
text by Shojiro Kameike

「組み技最大公約数」というテーマを掲げ、
レスリング、サンボ、柔術、サブミッションレスリングなど
あらゆる組み技をハイブリッドさせたルールの下、
過酷な戦いが繰り広げられるコンバットレスリング。

レスリング出身の木口会長らしくレスリングをベースとしたルールのため、
少しでも動きが少なくなるとレフェリーから指導が入り、
膠着となると、すぐさま「コーション!」とマイナスポイント。
そして再開されると、すぐに攻めることを求められる。
常に攻める姿勢が求められ、落ち着く暇も与えられない。
他の組み技と比べても、本当に過酷なルールだと思う。

そんなコンバットレスリングも、数年前に比べると、
大会の規模が小さくなっている。

2003年ごろまではマットを二面使い(現在は一面)、
会場も選手、記者、関係者、そして観客で埋まっていた。
取材をして回ろうにも、なかなか動きが取れなかった記憶がある。

その当時は一階級に16人ほど出場し、佐藤ルミナを始めとした
有名なプロシューターなども多く見受けられたが、
現在では各階級8人のエントリーで、有名選手も数えるほどしかいない。
そのおかげで大会が引き締まっている、という見方もできなくもないが、
大会出場者が減ってきているのはなぜだろう?

この問題に関して昔、ゴンググラップルという雑誌で行なわれた座談会で
意見を述べた。要約すると、こんな感じである。

   「柔道やレスリングは、オリンピックがあるから国内の大会も盛り上がる。
    アブダビ予選の上には世界大会があり、柔術にはムンジアルが、
    修斗グラップリングにはプロ修斗があるから参加者も多い。
    でもコンバットレスリングには、その上が無いからではないだろうか」

以前、木口会長は「コンバットレスリングの世界大会を開催したい」
と言っていたことがあるが、それこそコンバットのために必要な大会だ。
コンバットレスリングを広く知らしめ、その上で世界大会を開催する。
それが、コンバットレスリングが再び勢いを取り戻すための手段のひとつだろう。

では、コンバットレスリングをもっと広めるためにはどうしたらいいのか。

たとえば、今回は大きなチャンスを棒に振ってしまったのではないか。
PRIDEでニック・ディアスに敗れ、今回が復帰戦となる五味隆典が出場するのに、
多方面にリリースを出していなかったためなのか、
格闘技専門誌や専門サイト以外のスポーツ新聞や一般紙など、
さほど多くのマスコミが来ていなかったことは残念でならない。
コンバットレスリングを広めるための、せっかくのチャンスであったはずなのに。

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▲五味の寝技はそうそう見られるものではない。こうした姿を一般にアピールしていかなければ。

ここで新聞や一般誌などが五味の復帰戦が行なわれるとして大会開催が告知し、
ファンや記者がドッっと押し寄せてくれば、どれだけ盛り上がったことだろう。
それが多くのメディアで報道されれば、コンバットの認知度も高まったはずだ。

一方で、メディアの伝え方にも、もっと工夫が求められるのかもしれない。
見る側もやる側も、よりコンバットレスリングを
楽しめるようなページ作りが必要だ。

では、一昨年から実施され始めたパンクラチオンスタイルレスリングはどうか。
将来のオリンピック種目候補であり、
日本レスリング協会がバックアップしているため、
コンバットレスリングより、普及は早いのではないかと思える。

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▲サンボ衣を着て臨んだ竹内は、衣を使った袖車で勝利。パンクラチオンではこうした攻撃も許される。

膠着を許さず、選手が攻め続けるコンバットレスリングは面白い。
パンクラチオンも、あらゆる組み技競技のコスチューム着用が許され、
コンバットより異種格闘技的要素が多いルールとなっているため、
他競技の選手も入りやすく、観客にとっても面白い競技といえるだろう。
もっと他競技のトップ選手が参戦すれば、試合のレベルも上がり、
観客にとっても、もっと面白い競技になっていく可能性はある。

そんなパンクラチオンもオリンピック競技になれば、
多くの組み技系の選手にとって、最大の励みになっていくはず。

グラップリング普及のためにも、この二つの競技の発展を願わずにはいられない。

【 2007年03月28日 20:52 】

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