【コラム】CAGE FORCE中継に関連して、格闘技TV解説の話/高島学

文=高島学

text by Manabu Takashima



今回は、もう何があっても手前味噌。

ということを承知で、書きます。



2007年3月17日にディファ有明で行なわれたCAGE FORCE02の

模様が3月24日(土)の午後4時より、テレ東で放送される。



ちょっと先行き不安な格闘技界だからこそ、

首都圏の格闘技ファン、

格闘技関係者にはチャンネルを合わせて欲しい。

そこで――、

どんな解説が行なわれた云々には目を瞑ってもらって。



自分は、この時期に格闘技の中継に踏み切ってくれた

テレビ東京の方々に感謝している。



総合格闘技地盤沈下を少しでも食い止めたい。



そして、そんな中継スタッフのなかで、

CAGE FORCEという大会を、

格闘TVショーでなく、あくまでも格闘技という

スタンスで伝えたいと言ってくれた、

ある方に(ここでは某氏と呼ばせてもらう)――、

本当に、本当に感謝している。



99年にテレ東が中継した格闘技情報番組――、

あの頃は、格闘技人気に上昇気配が見られた。

そんな中での放送開始だった。



今回は違う。

大晦日の格闘技中継が、TBSのみとなり。

PRIDEの地上波復活も、なかなか現実とならない状況下で、

CAGE FORCEという微妙な位置にある大会が

テレビの電波に乗る。



これって、本当に凄いことだと思う。



正直、TVの電波に乗ることによって、

格闘技ファンの間でのランクづけと、

世間の評価にズレが生じることも多々ある。



格闘技が好きだからこそ、

釈然としない思いを引きずること事柄が、起きるだろう。



TVで活躍が報じられるAという選手より、

下北やディファ有明、後楽園ホールで活動を続ける

Bという選手の方が強いのに――、だとか。



このCという選手は、

いつも有名外国人選手とやっているが、

果たして、Bより強いのか――と。



テレビは、

一般層、世間を相手にしたビジネスだ。

そんなファンの意見は関係ないことかもしれない。



そんななか、某氏は

格闘技ファンが納得するトーナメントに、

という強い要望をスタッフ、実際に大会を運営する

GCMコミュニケーションにも、伝えていた。



そんな氏に、

「夕方の4時だから。分かりやすい解説を。

そして、芸能人も座ってもらいます――。

それが地上波ですから」と言われれば、

いくら自分でも、吐き出したい言葉を飲み込む。



吐き出したい言葉は、

その芸能人は、本当に格闘技が好きなのか?

ということだった。



SRSの藤原紀香さんの成功以来、

数々の芸能人が格闘技中継に関係してきた。

藤原紀香さんは、本当に格闘技を好きになってくれた。

格闘家に興味を持ってくれた。



関根勤さんと最後に解説の仕事をさせてもらったのは、

確か2001年のプロ修斗大阪大会だったと思う。

それなのに

「いやぁ、アフリカの選手が総合に来るのはやばいねぇ。

日本人なんて、絶対に勝てなくなるよ」

と、今も話しかけてくれる。



関根さんも藤原嬢も、自分からすると特別だ。



格闘技に興味がなく、

格闘家に尊敬心を持たない芸能人たちを、

幾度となく、眺めてきた。



今回、解説の芸能人枠は

ますだおかだの増田さんだった。

そう、小さいほうの方です。



打ち合わせの席で、同じく解説の役を担う宇野薫に

自分が少し、冗談を言うと――、

メイク中だった増田さんが

「高島さんって、凄い辛口で、堅い方やと思っていたんですよぉ」

と、驚いた表情を浮かべた。



いや、驚いたのはこちらです――。



それって、何度も関係者や、

アマチュアの選手から言われた言葉、

つまり、格闘技ファンの間での、自分の印象だ。



嬉しくなった。

増田さんが格闘技好きだったこともそうだが、

テレ東のスタッフが、本当に格闘技好きの芸能人を

解説として抜擢してくれたことが。



打ち合わせの最中も、ますださんは

「一般の人に伝えるって言うても、格闘技用語にいちいち

説明を加えたら、皆さん、話し辛いと思うんですよ。

なら、マウントとか言葉が出たら、

画面上に邪魔にならないように、説明書きとかあれば、

分かりやすいと思うんですよ」

と発言してくれた。



格闘技に理解がないと、決して出てこない言葉だと思う。



自分は、これまでスカパー系列で結構、

解説をさせてもらってきたが、

ほぼ好き勝手に口を開いていたに過ぎない。



ただ、良くも悪くも、解説で取り繕ったり、

ごまかしたりしたことはないつもりだ。

それが、視聴者の方に嫌悪感をもたれたとしても。



原稿を書いて、格闘技の原稿を書いて、

専門誌を創ることを生業にした自分がテレビだからといって、

そのスタンスを変えることはできない。

テレビ解説は、自分にとって本職ではない。

解説でいい加減なことをいうと、

自分のレポートを信じてもらえなくなる。



そうやってきたから、TVの人とは何度もぶつかった。

収録と締め切りが重なれば、締め切りを優先した。



だから、自分が出たことがある番組では、

スケジュールを聞かれ、

「深夜1時でないと、無理です。他の人にやってもらっても構いません」だの、

「海外取材なので、他の人にやってもらってください」

と返答したことも、いくらでもあった。



当然、TVの方は立腹しただろう。



今回、

解説も、雑誌作りも、優先順位はない。

どちらも、自分に与えられた役目であり、仕事だ――

なんて、初めて気付かされた。



テレビカメラの前で。

己の顔をさらけ出すことは、本当に恥ずかしい。

正直、凄く嫌いな事だ。

だから笑顔も作れないし、カメラ目線なんてできっこない。



と思ってやってきたことに、

少しでも前向きにチャレンジしようと思った。



某氏の計らいで、自分のような悪評高い人間を

中継スタッフに加え、

「格闘技を広めましょう」と言ってもらえたのだ。



カメラ目線だって、やってみる――

(ただ睨みつけているようにしか見えないだろうから、

カットされる可能性大)。





分かりやすく、話したつもりだし。

一般を意識した。



スカパーでは、格闘技ファンを相手に話してきた。

リバーサルも、パスガードも、差しあいも、えびも分かる人たちが対象だった。

が、CAGE FORCEの中継は違う。



だから、こないだの収録は、

自分にとっても新しい挑戦だった。



キーワードは、「分かりやすさ」だ。

「分かりやすさが、格闘技の普及に繋がる」と自分も思う。



凄い、凄い――でなく、

何が凄いか。



膠着している――でなく、

なぜ、膠着しているのか。



頑張った――でなく、

どう、何を頑張ったのか。



印象でなく、

感想でなく、

解説だ。





それでも、

それでも――だ、



なぜ、夕方4時だと、

格闘技は分かりやすく伝えないといけないのだろうかと、

今も疑問に思う自分がいる。



同時刻にやっているゴルフ中継をみると、

自分には分からない言葉だらけだ。

でも、それを解説者が分かりやすく説明してくれていると

感じたことは一度もない。



競馬もそうだ。

専門用語だらけだ。

説明されても、何のことか分かりもしない。



山田優が話すF1の話は、

レース好きが高じ、25年近く専門誌を買ってきた

自分としては、

「なんじゃぁ、それぇ?」となる。



一方で、森脇さんが、凄く丁寧に話してくれることも、

メカニカルな話となると、分からないことだらけだ。



ゴルフは、ゴルフが好きな人が見るモノ。

競馬は、競馬が好きか、賭け事が好きな人が見るモノ。

F1は、レース好き。車好き。

大昔なら、セナ好きが見るモノ。



今、盛んに中継されている世界水泳のシンクロも、

フィギアスケートの中継も、

わけの分からない言葉が行き交っている。



でも、嫌悪感はない(中継でなく、解説に対して)。

必至で、日本人に勝ってほしいという想いが伝わる

解説だから。



自分は、格闘技中継なら、

ダントツで、TKこと?阪剛の解説が好きだ。



K?1、魔裟斗の解説も凄く分かりやすいと思う。

説得力がある。



地上波とスカパー、そしてWOWOWは違う。

けど、

絶対的な真理は、

説明をしないのと――、

丁寧に話すのとでは、全く違うということ。



知らないことを全面に打ち出して、一般と同化する。

目線を下げる解説も、一つの手だろう。

一番良くないのは、

選手のことも、技術的なことも

知らないのに知っているフリをすること。



誤魔化せば、ファンにはばれるし、

一般層を騙すことになる。



違った意味で、

以前の自分は、無責任だったと思う。

思うがままに、話すのは、解説ではない。



それは本づくりにもいえる。



ちょっと、強引だけど、

真剣にやらないと、分からないことだらけ。

だから、必至で勉強しようと思う次第。



一般層に向けた解説――、自分では理解できていないし、

好きな人間向けの専門誌だって、本当は分かっていない。



ただ、好きな人の数を増やす。

ゴルフ中継や競馬中継が、専門用語を使えるように、

格闘技でも、パスガードや、ヒールホールドを

コブラツイストや、アッパーカットのように

世間が理解できる言葉にする。



それが専門誌もそうだし、自分が手伝わせていただいている

CAGE FORCEの中継の役割だと理解している。



というわけで、3月24日(土)の夕方4時は、

格闘技を知らない友人にも、

テレ東を見るように声をかけてください。



総合、キック、柔術も関係ない、格闘技界全体のために――

なんて偉そうには言えない、手前味噌の話でした。



■関連リンク

[公式]
GCM

【 2007年03月23日 20:44 】

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