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RENAが苦しんでいる。
Girls S-cup2連覇でブレイクし「飛ぶ鳥を落とす勢い」だった昨年から一転、
今年は神村とのエキシビションでダウンを奪われ、高橋藍に敗れてSBクイーンの座を逃し、
9・10ジェシカ・ペネ戦では延長2回の末に判定負け。
11・23、神村エリカ戦まであと1カ月月。RENAの心中は——。
取材・文_茂田浩司 撮影_ t.SAKUMA
「今まで通りではダメだと思うので、気持ちを強くしに、死ぬ覚悟で来てます」
RENAは10月から浅草のシュートボクシング総本部道場シーザージムで1か月間の合宿に入っている。
「きついです。一人じゃないですか。同じSBでも私は及川道場なので。メディアに出るRENAと(本名の)玲奈では顔が違うんですよ。シーザージムにいると玲奈に戻れない。淋しいですよ。だって甘えれないじゃないですか(苦笑)。いつもしっかりしてなきゃいけないし、孤独感と闘ってるので(及川)道場に戻りたくなっちゃう」
RENAは今、自分の弱さと向き合い、孤独に耐えて、より強くなろうとしている。
「今年はいろんなことがあって、たくさん変化があったんですけど、11月に勝てばすべて取り戻せるので」
RENAを小学6年生から育ててきた師、及川知浩は「甘えの許されない環境でやらせたい」と森谷本部長と相談し1か月の合宿を課した。
「(神村に)技術的に負けると思わないですけど、勢いは恐ろしいもので負けを勝ちに引き寄せるぐらいのものはあります。今はそこの差が凄いので、RENAはヘロヘロになって、狂気に満ちた精神状態になるぐらいじゃないとあかんと思ってます。世間の予想は『神村圧勝』ですけど(苦笑)それでいいと思ってます。あいつには『悔しかったら、相手の倍、練習したらええねん』と言ってます」
今夏、及川はRENAに「今後は練習も試合も自分で考えるように」と言い渡した。20歳になって自立を促すことと同時に、皮肉にもRENA人気の高まりも影響している。
「会場の声援が凄くて、試合中に僕の指示が届かないです(苦笑)。特に高橋(藍)戦は全然駄目で、その時にあいつ(RENA)、テンパって『これがダメなら次、次もダメなら』って切り替えが出来なかった。これからは自分で判断して、臨機応変に対応できるようにならないと」
高橋藍戦の敗北はRENAの心を深く傷つけた。一時は「引退も考えた」というほどに。
「RENAが一番嫌いなことをRENA自身がしてしまったから、そこがすごく嫌で引退を考えましたね。自分が許せなくて、このままプロを名乗っていいものなのか、まだ行けるのかが分からなくなって。休んでた間に試合勘も無くなって(以前に)戻れるのかって不安もあったし」
一番嫌いなこと、とは。
「それは言わないですよー(笑)」
追い込まれたRENAを救ったのは周囲の人達だった。
「一杯相談して、話し合いもしましたし、吉鷹さんには道場まで来ていただいて話しました。とりあえず、このまま辞めたら絶対後悔するっていうのがあるし、また戻ってきたいと思うんやろなって。そう思うんやったら、そのRENAが知ってる『嫌な気持ち』を再確認できたので、次からそれを出さなかったらええやん、って。それに、このまま辞めたらあかんなっていうのがありますね。絶対にやり返さなきゃ」
高橋戦は注目度が高かった分、様々な反響を呼んだ。インターバル中に及川がRENAの頬を張ったこともその一つ。試合中の「喝」が思わぬ反応となった。
「後で『RENAに何をするんだ!』って思った人もいるって聞きました(苦笑)。でも、RENAは先生(及川)が熱くなるのは全然。逆に思ってくれるのは有り難いんで」
及川から「自分で考えろ」と言われたことも納得しているという。
「いつも沢山教えていただいて、RENAが自分で考えることをしなかったんで、今は自分で考えて、やってみて、足りないところを教えて貰うようにしてます。(及川は)ジムの代表なんで『まかして!』っていう気持ちもありますし(笑)少しずつ親離れをしないといけないなあって。ずっと一緒にやってきて『急に?』と思ったし、ちょっと淋しいのはありましたけど(微笑)。マサ先生(及川の実弟、ナグランチューンマーサM16)も皆もいますし」
RENA自身にも、自覚が芽生えつつあった。昨夏のガールズS-cup 世界トーナメント優勝から周囲の反響が変わったという。
「言葉の一つ一つが大きく表現されるようになりました(苦笑)。ブログに『練習で疲れた』と書くとすぐに『プロだろ?』って厳しい反応がきますよ(笑)。TBSの『炎の体育会TV』の後は特に反響が大きくて、応援コメントを何百もいただいたり『あの格闘家の子』って声をかけていただくことも増えました。だから私生活も気を張ってないといけないなって思ってます」
8月に16 歳のMIOがプロデビューを果たした。4姉妹の末っ子のRENAにとって初めての「妹」。
「あの子がプロで試合をすることは凄く心配ですけど、プロになってくれたおかげで『もっとちゃんとしないといけない』って気持ちが出てきました。道場ではなるべく弱い部分は見せたくないし、見せたらダメだと思うし。でもお姉ちゃんは何でもしてあげたくなりますね(笑)。今それを直そうとしてて、自分で出来ることはしなさい、困った時だけお姉ちゃんが助けますって(笑)」
心の変化と歩調を合わせるように、RENAの体も変わりつつある。今夏から取り組むレスリングや体幹、フィジカルのトレーニングは、驚くほどの早さで彼女の体を変えた。
「体つきが『ゴツくなった』と言われますね。去年はまだムチムチで筋肉も少なくて、お腹も割れてない。今はお腹が割れて、メリハリが出来て。20歳になって大人の体になったのかな。道場で『前は女らしかったけど今は違う』とか言われてなんやねん! みたいな(笑)。でもまだ変わってる途中で、もっと作っていこうって思ってます」
毎朝走るのも「変化」の一つ。
「前は夜に走ってたんですけど、先生に『イヤなことをしろ』って言われて走ってます(苦笑)。朝6時とかまだ暗い時間に起きたくないけど、そんな自分と毎日戦ってます」
8月のサーサ戦でボディ1発のKO勝ち。浮上のきっかけを掴んだかに見えたが9月のジェシカ・ベネ戦では組み付く相手と噛み合わず、延長2R、本戦を含めて5R戦い判定負けで、完全復活はならず。
「元々ボクシングをしてたって聞いて、RENA的には11月に向けて打ち合って確かめたかったのに、組まれて『殴りたいのに! 離せよ!』みたいな(苦笑)。SBの選手が投げられて負けたらアカンやろっていうのは正直思ってるんですけど、打撃では負けてないし、逆に気が引き締まりました。1日だけヘコんで、もうヘコまない! みたいな」
気丈にも笑顔を見せたものの、内心はまだ葛藤がある。
「でも本当に(6月は)厳しかったんです。正直、まだ抜け出せてない感もあるんですけど、でも、まあ大丈夫です。11月に勝てばスカッと変われますから」
神村は早々に「KO宣言」をブチ上げたが、RENAは「舌戦」をするつもりはない、という。
「向こうは『行けるだろう』と思ってますよね。いいんじゃないですか。別に言うことはないし、試合が決まってからのインタビューでも何も言わないでおこうと思ってますから。RISE(9月23日)の時もガンガン言ってくるんですけど『ふ?ん』って。言葉は少なめに、勝ったらいいんでしょ、って思ってます」
RISEではメモを取りながら試合を見るRENAの姿があった。
「どういうルールで、どういう試合なのかと思って、メモを取りながら初めて試合を見て帰りはヘロヘロでした(苦笑)。ただ、こんな戦い方があるんやとか感覚が掴めたので行ってよかったです。最近はメモを取りながらDVDを見たりしてます」
今、RENAは貪欲に格闘技に取り組んでいる。
「吉鷹道場に毎週行くようになって、吉鷹さんが他の人に言うことを聞いてるだけで発見があるし、吉鷹さんから(神村との)エキシの映像を見てアドバイスを貰って、ミットで確認したり。練習が終わって家に帰るのが3時で、日曜にジュニアの子たちの大会とかがあるとしんどいはしんどいですけど……
続きは本誌vol.27でお楽しみください!
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