11.29プロフェッショナル修斗公式戦“修斗伝承04”展望
世界ライト級王者・門脇英基(和術慧舟會東京本部)
「突き抜けた強さがあれば、試合は面白くなる」
今年3月に田村彰敏を下して世界王座を獲得した門脇。
初防衛戦の挑戦者として、リオン武を指名した。
競技者として、ただひたすらに強さを追い求める王者は、
強敵を相手にチャンピオンシップで何を見せるのだろうか。
取材・文・撮影_亀池聖二朗
――東京本部代表代理補佐に決定しました。
門脇 補佐なので、そんなにいろいろとはできませんけど、目につくところはやっています。今まで、補佐になる前も一応年長だったし、いろいろやらないといけないとは思っていたんですよ。でもそういう細かいことは面倒くさいから逃げていて(苦笑)。でも、これから本当にやっていかないと。
――なるほど。さて、次回の試合は、11月29日にプロ修斗で、リオン武選手を挑戦者に迎えてのチャンピオンシップとなります。今回は、チャンピオン直々にリオン選手を挑戦者に指名したそうですね。
門脇 一番強い選手とやって、それなら勝っても負けてもいいやっていう流れが良かったので。普通にランキングを上から見てみれば、(アントニオ・)カルバーリョは高谷(裕之)にやられて、次は星野(勇二)に負けてしまって。すると次はリオン選手でしょう。この間(5月のVSセバント・ヤング戦)は負けていますけど、あれは誰が見ても「実力的にはリオン選手のほうが強いんじゃないか?」っという内容だったと僕は思っていますので。
――先日このチャンピオンシップが発表されたリング上では、「減量とか辛いことをしているから、どうせなら強い人とやりたい」とも、言っていました。チャンピオンになったとはいえ、調整試合はしたくないですか?
門脇 はい。勝てると分かった相手との試合のために、減量とかやりたくないので。リオン選手は強いし、今まで(プロでは)対戦したこともなかったし、やるならそういう選手が良かったんです。もう知っている相手とやりたいとは思わない。知らない選手と試合をして、自分がどこまで実力がついたか確認したいんです。もちろん、試合ってそれだけじゃないですよ。でも、そういう要素も試合にはあると思うんです。だから、強さがもう分かっている相手とはやりたくないですね。楽しみが少し減りますから。
――そういう感覚というのは、格闘技を始めた頃やプロデビューした時から持っていますか? それとも最近持ち始めた感覚ですか?
門脇 (実力的に)軽い相手とやりたいっていう気持ちは、昔から無かったです。試合は誰とやっても怖いから、ちょっとでも楽しい条件を増やさないと、試合なんてやりたくなかったし、昔から試合が怖かったんです。格下であっても怖いですよ、負けた時のことを考えると。
――怖さを打ち消すには、やはり練習が一番なのでしょうか。
門脇 練習……だと思いますけど、それでも芯の部分は消えないですよ。リングに上がる直前に、全部投げ出すというか(苦笑)。もう「全部いらねぇ」と。じゃないと、リングに上がれないですよ。いつも大会で、自分の試合の番になってくると、「え? もう来ちゃったの?」と思ってしまうんです。「いや、ちょっと待って!」って。だから試合直前に「もう勝っても負けても、どうでもいいや。将来の生活もどうでもいい」と、全部捨てたらようやく緊張から解かれる。その作業は絶対にやっていますね。
――現在のリオン選手に対する印象は?
門脇 横浜ジム自体、すごく打撃の強い選手が揃っているなっていう印象がありますよね。リオン選手が下から勝ちまくって上がってきた時は、「これは当たるな」と思いました。自分はランキングから出たり入ったりの繰り返しだったので、「これは当たっちゃうな」と。結局、当たらなかったけど、その頃から凄かったですよ、打撃が。相手の打撃に対して全くビビらないし。
――では、試合では打撃をかわして組みつきたい?
門脇 グラップリングの勝負のほうが楽だと思いますよ。
――もう対策は立てていますか?
門脇 まだリオン選手を想定した練習はしていないですね。想定しちゃうと緊張するので、普段どおり(の練習)です。唯一、技術的に穴があるところは分かっているので、今は普通に練習しています。いつもそんな感じです。映像とか見ると、すごく緊張しちゃうので、いつも試合の前日とかにチョロっと見るぐらいです。
――先ほどのお話では「試合前は怖い」ということでしたが、映像を見ても、勝てるというイメージは沸かないんですか?
門脇 僕の考え方で、試合が決まったら最悪の状態を想定してしまうというのが、クセになってしまっているんです。「ああ来たらヤバいな、こう来たらヤバいな」って。そういうイメージがいっぱい出来てくるぐらいで、「勝てる」と思ったことなんかないんじゃないですかね。
――元プロボクシングWBAスーパーフライ級王者の鬼塚勝也さんが、現役時代は同じようなことをおっしゃっていましたね。鬼塚さんも試合前はいつも最悪の状況を想定して、そこから不安な要素をひとつひとつ潰して、勝つイメージを作り上げていく、と。
門脇 全く同じです。最悪の状況を作っておかないと、試合で状況が悪くなった時に、心がもたないんじゃないかって思うんですよ。だから最初から、ボッコボコにされて何もできずに負けた時のことを想定して、「それでもいい」と思ってリングに上がりますから。あぁ、鬼塚さんと同じ感じだなぁ。そのとおりですもん。
――試合に対する怖さ、「自分はどうなってしまうんだろう」っていう恐怖が無いと戦えないのが、格闘技のひとつの側面だと思うんですよ。よくプロの試合でも、怖さを知らずに無謀な打ち合いをしている選手っているじゃないですか。何が起こるか分からない、怖いからこそ、しっかりと勝つために戦うという面は、大切にしないといけないことだと思います。
門脇 怖くないんだとしたら、それは凄いですよ。僕だって、どうせなら恐怖感無しで戦いたいですよ。でも、それは無理ですから。
――それは試合がチャンピオンシップでも、ノンタイル戦でも変わりませんか?
門脇 はい。ただ、もうノンタイルはやりたくない。ノンタイルで負けたとしたら、もう1回同じ相手とやらないといけないじゃないですか。それは絶対にしたくないから、タイトルマッチしかできないですよ。
――これから毎試合チャンピオンシップで?
門脇 できれば…、ですけどね。
――それでは、リオン選手にメッセージをお願いします。
門脇 リオン選手をガッカリさせないように、しっかりとコンディションを作っていきます。
――そして、最後にファンの皆様へ。
門脇 ファンの人ですか……うーん(悩む)。
――門脇選手は、ファンの目って気にするほうですか?
門脇 いや、一切意識しないです。面白い試合をしようとも思っていないし。というより、普通に強さだけ求めて頑張っていれば、副産物として面白い試合になると思っているので。
――そう、そうですよね。普通のスポーツなら、勝つための技術が面白いとされるのに、どうしても格闘技ってそうならないんですよ。ただ見た目が派手であれば面白いとなってしまう傾向がある。
門脇 最初から魅せる試合のほうに行くと、競技が違ってくると思うんです。今の状態で僕がつまらない試合をしたとしたら、それは単に実力が中途半端だってこと。強さがしっかりと突き抜ければ、僕の試合も面白くなっていくと思う。そうならないといけないので、突き抜けるように頑張ります。
Kadowaki Hideki
かどわき・ひでき
1976年3月28日、長崎県出身
身長174cm、試合体重65kg
プロ修斗戦績12勝6敗1分
修斗世界ライト級王者
和術慧舟會東京本部所属
サステイン
「プロフェッショナル修斗公式戦“修斗伝承 04”」
2008年11月29日(土)東京・後楽園ホール
開場17:30 開始18:00
<決定対戦カード>
▼世界ライト級チャンピオンシップ5分3R
日沖 発(日本/世界ライト級5位/ALIVE)
VS
佐藤ルミナ(日本/世界ライト級6位/roots)
▼世界ライト級チャンピオンシップ5分3R
門脇英基(王者/和術慧舟會東京本部)
VS
リオン武(挑戦者/シューティングジム横浜)
▼フェザー級5分3R
田澤 聡(GUTSMAN・修斗道場)
VS
扇久保博正(パラエストラ松戸)
▼ウェルター級5分3R
風田 陣(ピロクテテス新潟)
VS
ウエタユウ(PUREBRED京都)
▼フライ級5分2R
ATCIアナーキー(日本/パラエストラ東京)
VS
室伏カツヤ(日本/roots)
<出場予定選手>
中蔵隆志(シューティングジム大阪)
<チケット料金>
SRS席15,000円、RS席10,000円、SS席8,000円、S席6,000円、A席5,000円
<問い合わせ>
サステイン TEL.03-5759-6863
挑戦者・リオン武のインタビューは、10月21日発売の本誌vol.09で!
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