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Fight&Life Magazine連動企画「どうすれば日本の総合格闘家は北米で勝てるのか?」
これまで中井祐樹氏=「寝技に活路を見出す」、
吉鷹弘氏=「打撃で勝つ」、高阪剛氏=「北米を知る、環境に順応する」というテーマに沿った形で、各氏の意見をお届けしてきた。
第四弾は、礒野元氏を招き「日米の違いを知る」ことについて語ってもらった。
現在、発売中の本誌で「選手の安全を守るのはルール。レフェリーは実行することが仕事」という北米の在り方を指摘している同氏、
アスレチック・コミッション、プロモーション関係者、そしてファイト&テクニックと
現在の日本格闘技界において、誰もよりも北米の深淵を目にしてきた氏ならでは、
意見の続きをここに掲載したい。
『UFCが社会の中にMMAの居場所を作ったのに対し、日本の総合は――』
――ハイエモーショナルで動いてしまう選手が米国にいるということですね。
「えぇ、そしてその場にいたマット・ヒュームなんかは、直さないといけない欠点だというんですね。
僕もセコンドとして、その選手をみれば、その通りだと思います。
プロモーターなら、それが良いところだと言うかもしれないですが、冷静に見て、勝つことを第一に考えて、そういう意見がでるのは、それだけスポーツとして見られているということになります。
それと、良い試合をしようが、負けが続けば容赦なく切られる。
何よりも若い選手が、次から次へと出てきている。
こういう下からのプレッシャーは、日本の総合にはないものだと思います。
日本の選手は、一度、ポーンと花火が上がると、そのまま食わせてもらうことが多いですし、負けても負けても使ってもらえる。
一度、売れた商品を長く使うということに関しては、ビジネスとしては正しいと思いますが、そういう部分で楽をしちゃっているじゃないかと」
――つまり、選手をビジネスの商品という表現でいえば、米国は新しい商品が次から次へと販売されるのが、日本では新しい商品が育っていないということですね。それは、やはり勝ってもチャンスが広がらず、負けても次にチャンスがあるという構造が影響していることは間違いないですね。試合をして負けた選手に次にビッグファイトがあり、負けた方にチャンスがないというのはUFCには見られない。
「そうですね。
ビッグネームだろうが、なんだろうが、あの容赦のなさが、UFCの厳しい空気を作っていると思います」
――日本のプロモーションでは、プロモーターが選手に立ち技で戦え、関節技よりパウンドというようなことを指示することがあると聞きます。これは負けた選手の言い訳かもしれないですが、UFCでは良い試合をするために選手でなく、ダナ・ホワイトが世論を煽っているような気がします。
「具体的な戦術を日本のイベントでも、プロモーターが選手に強要しているのは、僕は見たことがないです。
あと、UFCでもルールミーティングと称した会合のなかで、選手全員の前で良い試合をしてくれという言い方をされることはありますよ。
それはセコンドも出払わせる会合なんですが、僕は通訳として中にいることができるんです。
そこでダナは、『ベストファイトにX万ドル出す。ベストサブミッションに○万ドル出す。ベストKOに□万ドル払う。だから、がんばれ』っていう風にいうんですけど、時折り、TUFの視聴率云々とか彼の心情が語られることがあるんです。
『みんな、つまらない試合ばっかりして。ファイトマネーはどこから出ている? このままじゃ、TVからも切られてしまうぞ。俺たちは、これだけの金額を払うから、頑張れよ。タイソン・グリフィンを見てみろよ、アイツは試合に出るたびにボーナスを手にするボーナス・ハンターだ。ボーナスだけで、家を建てたぞ』と、はっぱをかけるんですよ。
で、ルールミーティングが終わると、日本人選手は頑張らなきゃ、必死でやらないと――ってなるんですが、米国人の選手は『TUFの視聴率が悪いとか、俺らの知ったことじゃねぇよ。お前らがオーディションした選手でやって、そいつらがつまらないからって、俺たちにいう筋合いじゃないだろう』とか言って、深く受け止めないんです(笑)。
そういう意味でも、個人主義というのか、『俺の仕事は、ファイトマネーをもらって試合をすること。それ以外のことは知ったことじゃない』っていう感じなんです」
――労使関係にたとえると、日本の大会は、労働者という立場の選手とプロモーターでは、プロモーター側にパワーバランスが寄っている場合が多いですね。
「まぁ、社会構造も違いますからね。
UFCほどでないにしても、発足してはなくなるというケースが多いにしても、ビッグプロモーションと呼ばれる組織が複数存在することも大いに関係していると思います。
そういう環境だから、選手も自分の意見を口にしやすいというのがあるんではないでしょうか。
選手は、自分のお金の計算をしっかりとできていると思いますよ。
強かなところもありますしね」
――これまで上がった日米の違いは、米国の良いところが多いのですが、向こうのほうが良くないという部分はどんなところでしょうか。
「山ほどありますよ(笑)。
州ごとにルールが違い、アスレチック・コミッションの仕事の進め方が違う。
カリフォルニアなんて、控え室には水しか持ち込んではいけないということで、そのまま試合まで5時間も6時間も拘束されて。
UFCなら、まだ会場入りする時間を試合順によってずらしてくれますが、それでも3時間とか4時間、水だけで過ごさないといけないんです。
感覚として、やはりコミッションは役所ということなのかもしれないですね。
セコンドも、一度、控え室に入ると出てはないけないとかお達しがあるんですが、日本からわざわざ応援に駆けつけてくれた家族にチケットを渡したい選手とか、困っていることもあります。
英語を話すことができれば、なんとかなるんですけど、絶対にダメだといわれることもあるんですよ。
きっと、日本でも競輪とか競馬なら同じだと思います。
賭けの対象、ギャンブルですから、外部との連絡は取れないようになる。
米国のMMAは、ギャンブルと連動しているので、必要以上に厳しくなっている部分もあると思います」
――それが公正性に通じるなら、正しいなら良いと思ってしまいます。日本の状況と比較するのであれば。ただ、その賭けですが、セコンドも参加できるんですか?
「したことはありませんが、システムとしては可能ではないでしょうか」
――ならば深刻な怪我を知っていて、それを伏せ、自分は相手方に賭けることもシステム上は可能というこですねぇ。
「大穴のような形で、とんでもない金額を賭ける人は、おそらくは何らかの調査が入るのではないでしょうか」
(この項、続く)
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