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Fight&Life Magazine連動企画「どうすれば日本の総合格闘家は北米で勝てるのか?」
本誌ではすでに第四弾=違いを知る:磯野元編がスタートしているが、
ここでは第三弾 高阪剛インタビュー 続編:最終回: 北米を知る
を引き続き、お届けします。
現役ファイターとして、セコンドとして北米の過去・現在を知る氏は
北米の自由、不自由。そして、自分の世界観を作ることの大切さを説く。
『日本と比較しても、しょうがない』
――リゾート地での試合でも、外国人選手と日本人選手の気持ちの持ち方に違いが見られることはなかったでしょうか。
「奴らはオン・オフというか、気持ちの切り替えが上手いですね。
いや、上手さとかではなく資質ですね、アレは。
コスタリカでも、本気で楽しんで、はしゃいで。
で、次の日に試合をやっていましたからね。
こんなに楽しい遠征はないって言っている米国人やブラジル人が多かったですけど、ああいう部分は日本人選手には求められないですよね。
だからこそ、回りに影響されずに、自分の世界感を持ちたい。
自分を貫き通す、自分たちの我儘を通せるように、選手が心地よく過ごせるよう努力をします。
遊んでいる選手の姿が見えないよう、つい立をしたり。
言ってみれば、試合相手が目の前で遊んでいる場合があるんですよ(笑)。
これはコスタリカだけでなく、べガスでもそうですね」
――気候なんですが、結構、日本人選手って気温は気にするけど、湿度に関しては無頓着な人が多くないですか。
「日本にいてジメジメしている気候が嫌なのに、実は湿気がない土地にいくと、喉や目をすぐに痛めますよね。
特に気をつけるようにしているのが、夜に眠るとき。
バスタブにお湯をいっぱいに溜めて、湯気が充満するようにし、それでも足らないときには床に水を撒きます。
バスタオルをビシャビシャになるまでお湯に浸して、床においても、それが乾いてしまうんですよ。
だから、下手にこんなことして怒られるかなんて考えないようにしています。
試合をするための我儘は通していいでしょう」
――外気温を建物の内側の気温の差も、日本以上だと感じます。
「そうなんですね、だから、どんな季節でも絶対に長そでを一枚は持っていくようにアドバイスはしています。
もう、正直なところ、季節は関係ないようなもんです(笑)。
だから、冬なんてエアコンの前に水に浸したタオルを重ねて、湿気を含むようにしますから。
自分でカスタマイズする、これを初めて行く人は分からないので、所属ジムとか関係なしに経験している人に聞くべきです。
長そでを持って行った方が良いって、経験者からすると凄く基本的なことですからね。
あとは、飛行機の中ですよね。
米国の国内線の寒さって、尋常じゃないですから。
あれで米国人は、短パンとか履いている。
そういう連中のなかに行って戦うということを、今一度、理解しないといけないんです。
寒い寒い飛行機の中で、寒いって彼らに文句を言っても通用しないですから、そういう部分は諦めて、ストレスのない方向に持っていかないと。
試合で100パーセントの力を発揮するなんて、まずは無理。
自分のパフォーマンスは、多少は落ちるという覚悟が必要なんですよね。
だから、最近のUFCのように空港のバッケージ・クライムに、送迎の人間が待ち構えていてくれるだけでも、随分とストレスはなくなります。
今のUFCでは、現地での移動のストレスが随分と減少したと思います。
以前は、宿泊先の住所、電話番号を常に手にしていましたから(笑)」
――それはもう、同行者、セコンドの役割になっていますか。
「そうですね、選手にはできるだけ考えさせないようにしていますが、紙入れ一枚を持つことなんて苦痛でもなんでもないので、注意事項を紙に書いて渡しておきますね。
言葉でいうと、伝えることが重なって、それがストレスになる恐れがあるので。
ストレスを感じる、受け止めるのがセコンドの役割で、試合をするファイターは気楽でいられる環境を作ってあげるべきですね」
――繰り返しになるかもしれないですが、高阪さんの経験上、現地に行って勝つために選手が一番、切り替えないといけない部分。そして、セコンドが気にしないといけない部分は、どこになるでしょうか。
「初めて戦う場合、全ての力を発揮するのは、ほぼ難しいので、気持ちのレベルを一段下げることが必要かと思います。
国内では可能なのに、向こうでは諦めないといけない――、そういうどうしようもない部分が絶対に出てきます。
何か上手くいかないことがあるなら、そこにイライラしたりするのでなく、全てリング上でのパフォーマンスにつながるよう、気持ちを持っていくことが大切ですね。
そのために、気持ちをコントロールするというんですか、一段、下げておく。
当然と思っていることが、当然じゃないのが当たり前というぐらいで。
セコンドは、そのストレスを選手が感じないようにする。
そのために、いくつかの保険を持っていることですね。
食事のときでも、一つだけでなく、二つ目の店の目星をつけておくとか、椅子があって座れる場所を覚えておくとか。
時間が余ったときに、休める場所を確保してあげることも大切です。
横になれるソファがある場所とか、知っておくと絶対に選手は助かります。
心に余裕を持ってもらえる。
その環境作りです。
とにもかくも、日本でないので、日本と比較してもしょうがないということを念頭に置くことが、まず必要です。
しょうがないものは、しょうがない――、ということ。
全てが良い経験になるという腹積もりで、目の前にあることを受け入れるしかない。
米国で結果を出すという気持ちがあるなら、言葉の問題も含め、乗り越えられるはず。
そのためにも、自分の方から現地になじむ必要があると思いますよ。
それと、現地の日本人の方と仲良くなる。
たまたまの機会を、しっかりとした人間関係にすることも大切で。
現地の人の応援、親切にしてくれた事実が、自分を強くしてくれますから。
海外にいると、感謝の気持ちも含め、日本にいるときには感じない自分を知ることになりますよね。
丸裸にされるというか、ものすごく勉強になります。
自分の本能が剥き出しになる、そういう場所でもあると思います。
通常概念がない場所なので、自分の深層心理が表に出てくる。
普通じゃない、日本の普通じゃないことを踏まえ、覚悟を決めるしかないです」
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