左から佐野博、タクミ、増田嘉晃。梅園文平は所用のため欠席したが、後日取材に成功。なおパラエストラ大阪からは、山口雅裕の全日本エントリー(スーパーヘビー級)も決定している。
毎年、全国の強豪が集まり、プロ昇格を目指して覇を競う全日本アマチュア修斗選手権が、9月14日、今年も神奈川県・小田原アリーナで行われる。そこで、アマチュア大会・競技者を応援するFight&Lifeが、この大会に出場する選手・道場をピックアップし、ドドーンと紹介していくこの連載。第四弾は“生え抜きプロシューター”誕生間近の、パラエストラ大阪を紹介します!
取材・文・撮影_松浦俊秀
text&photo=Toshihide Matsuura
――全日本にはスーパーヘビー級の山口雅裕選手を含め4選手が出場しますけど、パラエストラ大阪の修斗の現状はどのような感じですか。
タクミ パラエストラというイメージから、やはり開設当初から柔術志向の会員さんが多いですね。この前も関西柔術ジャンボリーの団体戦で優勝したり、柔術の方は出場すると必ずメダルを取って帰ってくるんですけど、修斗の方はなかなか入賞する選手が出ませんでした。だから最近ですよね。出ると入賞して帰ってくるようになったので、だいぶ勢いづいてきているとは思います。
――柔術の下地が修斗の中でも生き始めたということでしょうか。
タクミ いえ、どちらかと言うと柔術と修斗をやる人間は完全に分かれています。僕とか田村(ヒビキ)はインストラクターもやっているので両方やりますけど。あとは増田君と梅園君が両方やるくらいで、佐野君は完全に修斗で、ギは着ないくらいの勢いですね(笑)。
――オープンは03年5月ですよね。
タクミ はい。なので修斗に関してはちょっと遅いかなと感じています。だから他のジムが開設してすぐにプロ昇格の選手を出したりすると「どういう指導法なんやろう?」と思ったりしますよね。もちろん、もともと下地がある選手が移籍してきたというケースも多いんでしょうけど。ようやく梅園君や増田君のような生え抜きの選手が出てきたので、やっとかなという感じですよね。
――となると今回、初めてパラエストラ大阪生え抜きのプロ選手が誕生するかもしれない。
タクミ そうですね。川俣君(ジョージ“カワマタ”ジョースター)も移籍組ですから。今年は生え抜き選手がプロになってくれると思っています。
――そのなかで、まずは梅園選手ですが、四国選手権はぶっちぎりの優勝でしたね。
タクミ 柔道ベースの選手なんですけど、最近は元プロボクサーの人に教えてもらうために、わざわざ和歌山まで行ったりしています。すごく出稽古も積極的で、練習でも総合の日だけじゃなく柔術の日も来て、基本的に毎日、それもテクニッククラスから最後まで残ってウエイトもやるという熱心な選手です。コイツは強くなるなって、最初から思いましたね。瞬発力、身体能力が高いですし、寝技だけではなく打撃も一発を持っていますから。
――タクミ選手、イチ押しという感じですね。
タクミ そうですね。で、佐野君の場合は、まずはフィジカルです。フェザー級では、かなり圧倒的なものを持っています。ただ、まだ体を活かしきれていない。総合の落とし穴というか、打撃の練習を熱心にやると、それを使いたくなるんですよね。それで変に使って逆にやられるというのが何回かあったんです。それだと総合ではないじゃないですか。何かにこだわるんじゃなくて、ある意味ではすべての部分にこだわらないのが総合だと思うので、今はそういうことができるように指導していますね。
――増田選手はどうでしょうか。
タクミ もともと野球をやっていて、何のバックボーンもなしに格闘技を始めた選手なんです。ただ昼の仕事が忙しくても、なんとか時間を作って練習に来たり、休みの日も道場のカギを持っている人に開けてもらって「練習に付き合ってください」とお願いしたり、本当にマジメな選手ですね。天才肌ではないですけど、地道に努力してきた選手です。センスはないタイプですけど、彼自身がそれを自覚して努力できる子なんで応援したくなりますよね。
――逆にそういう選手が全日本にエントリーするところまで成長したわけですよね。
タクミ そうなんですよ。本当に嬉しいですし、彼は試合のときも僕のアドバイス通りに動くんですよ。もうロボットみたいに。最初のころはガチガチだったんですけど、最近は指示を聞いて動けるようになったんで、それは成長ですよね。
――パラエストラ大阪の指導方針とは、どのようなものなんですか?
タクミ 僕が性格的にガミガミ言うタイプじゃないので、基本は楽しんでほしいですよね。技の仕組みとかを細かく教えて、「ほら、面白いやろ?」という感じで。みんなマジメにやっていますし、そういう意味ではラクをさせてもらっています(笑)。
――練習を見ていても、ひじょうに教え方が丁寧ですよね。
タクミ ありがとうございます。僕自身が中井(祐樹)先生のもとで修行してきて、中井先生がそういう感じなので。自分の中では中井流を伝承しているつもりなんですけどね。
――パラエストラ大阪のカラーとは?
タクミ 明るく楽しく激しく、ですかね。
――全日本プロレスと同じですね。……あっ、これは軽くスルーしてください。
タクミ あっ、何かとかぶってました? でも、僕はそれが理想ですね。人間、しんどいことばかりだと破綻してしまうと思いますので。
――では生え抜きのプロ選手誕生に期待しつつ、最後にタクミ選手の現状も少し押さえさせてもらえますか?
タクミ 今年のムンジアルで計量失格になってしまったんですよ。でも、もしかしたら誤解している方もいると思うんですけど、決して減量を疎かにしたとか、柔術をナメてかかったわけではないんです。これを言うとアレですけど、正直、体重計がおかしかったと思うんです。自分自身でも体重計を持参して、それで100g単位で水分調整もして600gアンダーで計量に臨んだのに、体重計に乗ったらオーバー。抗議もむなしく失格になりました。もう、それがすごいショックで。ムンジアルが終わってから修斗に戻るって話もしていたんですけど、ちょっとこのままでは悔しすぎると。それで、今はしばらく柔術に専念しようかという気持ちになっていますね。
――となると総合の試合は、もうしばらくお預けになりそうですね。
タクミ はい。ムンジアルという舞台にリベンジしないと男として気が済まないというか。ただタイミングや条件があれば、お休みしている修斗も出たいですけどね。願わくば修斗環太平洋のベルトを取りたいので。冨樫(健一郎)選手も言っていましたけど、やっぱり中井さんに「取りました」というのが恩返しだと思いますから、環太平洋だけは取りたいと思っています。
「コンディションもバッチリなんで、早く全日本が来てほしいですね。僕は相手のことを気にしたり考えながら動くと弱くなるタイプなので、試合では良い意味で本能で動きたいです。全日本のポイントは寝技だと思います。僕の場合、ポイントを考えながらだと後手後手になってしまうので、極め極めでいきたいですね。タクミさんにも『考えずに動け』といわれていますから。パラエストラ大阪の生え抜きプロ第一号? あっ、そうですね。チーム吉鷹とか和歌山に出稽古に行ったりはするんですけど、練習のほとんどがここなので、早く優勝してパラエストラ大阪の生え抜きプロ第一号になりたいです。頑張ります!」
佐野博(四国選手権フェザー級準優勝)のコメント
「去年は迷いがあったんですけど、今年は全然ないですね。どんな相手でも自分を貫くだけです。今年の始めくらいにパラエストラに移籍してから、そう思えるようになりました。去年の全日本は出ただけという感じだったんで、悔しさすらなかったんですよ。でも、そのあとの西日本オープンで初めてKO負けしてしまって。それまでアマチュア修斗では一本負けもKO負けもなかったので、すごくショックで、それで火が点いた感じですね。アマチュアで結構、試合もやっているので本当は去年プロになりたかったんですけど、いま考えたら去年プロにならなくて良かったなと思います。この一年ですごく変われたと思うんで。今年は自分の特性を分かった上で、自分を出しきろうと思っています。パラエストラ大阪は柔術が目立っている部分もあるんで、修斗は僕が引っ張るくらいの気持ちで頑張りたいですね」
パラエストラ大阪
大阪市天王寺区国分町18?21大室ハイツ201
TEL.06-4305-1741
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