好評発売中のFight&Life06号、92ページより
「彼らにとってのMMA―マイノリティ・ファイターのFight&Life」というレポートが掲載されています。
そこで取り上げられた3人のファイターたち、彼らの素顔をより知ってもらおうと、
現地インタビューをここで再現します。
今回はベテランファイターのジョー・カマチョ選手の第2弾です。
マイノリティ内メジャーというべきヒスパニック系の彼が、現役引退後に描く人生設計は、これまでの苦労の影響が強いものだった。
Text by Manabu Takashima
カマチョ ジムのあるパサデナは、高級住宅地なんだ。
ジムに通うために必要なパーキングも他より高い。
でも、このエリアに住んでいる人たちは、良い仕事に就いている。
だから、一部の人間しか通うことができないんだ。
だからこそ、僕は地元に戻り、ストリートにたむろするしかないキッズたちが、MMAを通して成長し、社会に出られる下地を創りたい。
――ストリートにたむろするということは、いずれ犯罪者になる可能性も高いということですよね。これらだけラテン系が多いLAといえども、ヒクパニック系住民の生活は決して楽でないということですね。
カマチョ もちろん。今も、ラテン系住民の人口は増え続けているしね。
米国で働き、稼いだ金をメキシコのファミリーに送るために、彼らは国境を越えてやってくるんだ。
だから、ハードに働いている。
僕は外見上は、メキシカンに見えない。
だから、時々、ショッピングをしているときに、メキシコ人を馬鹿にしたような会話をしているのが聞こえてくるよ。
――それは差別意識があるということですね。
カマチョ そんなとき、「僕がメキシコ人だと知って、そういう会話をしているのかい?」って言ってやるんだ。
差別はどこの世にも存在する。
ただし、貧富の差が差別意識を生むんじゃない。
そういう風にならない教育が必要なんだよ。
しっかり教育を受けた人間は、差別意識など持たないよ。
――そんなカマチョ選手のメッセージは、MMAで成功すると、より影響力を持つことになりますね。
カマチョ そうMMA人気が急激に上がり、TVに出る機会もできた。
たった今、始まったばかりなんだ。
色々な人種、たくさんのオリジナルの持つファイターたちが、MMA界に存在する。
お互いが勝利を目指し、勝利を祝い、健闘を称えあう。
僕らは色々な背景を持ち、戦うアーチストなんだ。
そんな僕らの活躍こそが、この国から差別意識をなくしていくと思う。
――そのためのMMAということですが、カマチョ選手が若い頃にのめりこんだキックボクシングという格闘技は、メキシコ系住民にとって、どんな存在だったのですか。キックは決して米国ではメジャーでないのですが、古くはベニー・ユキーデやサンノゼのシャビ・メンデス、少し前にもヘクター・ペーナというスーパースターが存在しました。
カマチョ 君が名前を挙げたベニー・ユキーデ、そしてヘクター・ペーナもキックボクシングが好きな人間にとってはアイドルだった。
7度も世界王者に輝いたヘクター・ペーナがMMAにやってきて、僕にKO負けしている。僕は2度、彼と戦ったんだ。僕はただの柔術ファイターだと思ったようだよ。
――それがMMAの醍醐味ともいえますね。それではカマチョ選手のMMAファイターとしてのゴールはどのようなものでしょうか。
カマチョ 僕はこれまでにキング・オブ・ザ・ケージ(KOTC)とカリフォルニア・ケージ・コンバット(CCC)のチャンピオンになった。
35歳だし、そう長く戦えるとは思っていないよ。
だから、僕の試合を見てくれた人々の印象に残る試合をして、ジョー・カマチョという存在を人々に脳裏、ハートに植え付けたい。
名前を売って、ジムのオープンし、選手のマナージャー業もやっていきたいと思っているんだ。
――それは第二の格闘技人生ということですね。つまり、人生の目標でもあります。
カマチョ そうだね。
ケージやリングのあるジムで、MMAだけでなく、子供たちにテコンドーやキックの指導もしたい。
カポエイラもいいね。
(※スペイン語が堪能なジョー・カマチョは、ポルトガル語も勉強中でブラジリアン柔術だけでなく、ブラジルの文化にも非常に興味を持っている)
そうやって、ジョー・カマチョMMAチームを強くしていきたんだ。
その一方で、グラフィック・デザイナーの仕事も続けていきたいと思っている。
自分が身につけた技量で、Tシャツを創り、ゆくゆくは衣料関係の会社を興したいと思っているんだ。
――MMA以外でも、大きな夢があるんですね。
カマチョ 僕のファーストネームは本来、ホセというんだ。
でも、スペイン語の名前を履歴書に書いていては、ステレオタイプの人間はそれだけで僕の腕前など考慮することなく、採用してくれることはなかった。
でも、仕事を得るためにジョーという名前にしたんだ。
僕らは、そういう風に仕事を得ることでも、ディスアドバンテージを持っている。
ただ、それでも僕は母がしっかりと導いてくれたから、スカラシップを取っていたし、運よく自分の望む仕事にありつくことができたんだ。
――だからこそ、MMA引退後もその仕事を続けたいという気持ちはすごく理解できます。
カマチョ グラフィック・デザイナーと、MMA、つまりミックスト・マーシャルアーツ、
MMAで永久に活躍することはできないけど、デザインは別。
だから引退後、ジムを持ち、ファイターをマネージメントするようになっても、ずっと続けていきたいんだ。
つまり、僕はアーチストであり続けたいんだよ。
ただ、僕にはスカラシップを取っていてから。デザインの仕事は、ずっと続けたいんだ。MMAもミックスト・マーシャルアーツ。僕はアーチストさ。
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