
Fight&Life Magazine連動企画「どうすれば日本の総合格闘家は北米で勝てるのか?」
第一弾 中井祐樹インタビュー 続編:その四:最終回
寝技で勝つ、日本人というテーマもいよいよ最終回。
「なぜ、寝技決着が少なくなったのか」、寝技には手順が必要だが、
その手順を理解してもらうには、何が必要なのか。
その寝技で勝つことができるようになる、環境とは。
柔道やレスリングで結果を残した選手が、総合にやってきて立ち技に磨きをかける。
この現状から、検証してみた。
『取りに行く姿勢。そこを評価すれば、力も上がる』
――ただ、今の日本の総合を北米、米国人と対戦することを踏まえて考えると、日本人は殴り合いで勝てない。ならば、寝技を磨いていくべきだという風にならないものなのでしょうか。
中井 本来は、全てできるようになること。
そのなかで、今は寝技の良さが薄れてしまっているのかもしれないです。
柔道やレスリングの国内のトップ選手が総合にやってくるようになった。
でも、誰ひとりとして関節技を取れる人間ではない。
かろうじて取るスタイルを持っているのは、柔術上がりの人間か、寝技の盛んなりし柔道の流れを組む人間、うちや和術の人間のような。
――柔道やレスリングのトップ選手は、フィジカルが強く、体の軸がしっかりしており、寝技でなく打撃の破壊力が注目されるほどです。
中井 一本勝ちを取る、そこに称賛が集まるようになってほしいですね。
だからこそ、私は「一本」、「一本」と口を酸っぱくして言うんです。
その価値を理解しているつもりなので。
もちろん、打撃でのKO、投げでのKO、パウンドのKOも等しい価値があります。
そういう意味で、ダメージを与えていないのなら、寝技に判定勝ちはない。
もしくは、明白に圧倒していないと、寝技中心の選手にジャッジがマークすることはないですから。
だからこそ、取れる人間を評価したい。
――取りに行ける、サブミッション・アテンプトのある選手ですね。
中井 取りに行く姿勢ですね。
僕の中の見解ですけど、そういう姿勢を評価することが力を上げていくことになると思うんです。
――勝つために~と、また考え直す時期がやってきた。今、考えなおさないといけないという時期がやってきたと感じます。DREAM1のエディ・アルバレス×アンドレ・ジダ戦を見て、彼らと殴り合うよりも、寝技の隙を突く方が、勝利に近いのではないかと。もちろん、いろいろな見解があってしかりですが、このままでなく、もっと考えないと勝てないという危機感があります。
中井 立って良し、寝て良し。
それが日本人の道しるべになるかもしれないですね。
――打撃をやっている選手が、組み技を磨いていく。ブラジリアン柔術のエキスパートが打撃をマスターしていく。どちらの方が早いですかね。
中井 それは難しいですね(笑)。個人的な資質があるので、一概には言えないです。
だから、両方とも活性化すべきで。
――柔術の普及がよく言われるのですが、実はキック人口も十分に多いように感じるんです。キックにこそ総合の素質のある人間が隠れている可能性も高いなどと思うこともあります。
中井 打撃の選手は力が強い人が多いですね。
伸ばす方の力、伸筋が強いかなと。
だから、そういう人たちが寝技を覚えていく、レスリングを学んでいくのは、すごく有益だと思います。
幅が広がりますしね。
今の総合は柔道のように立ち技が多くて、寝技が少ない。
そういう現象にあると思うのですが、選手個人でいえば、技術的には壁に当たり、必要な技術はサイクルのようにグルグルと回っていくはずです。
だから、その壁をできて、崩す、そういう事態がもっと起こるに違いない。
そして、ブラジリアン柔術、サブミッション・レスリング、キャッチレスリングの出番になるでしょう。
そういった技術に目が向くように、活性化していかないと。
――ブラジル人や米国人ファイターの方が、戦い方がバラエティに富んでいると思うんです。軸からの幅というのでしょうか。日本人選手の試合は、戦い方に流行というものがあれば、その軸から離れた部分での個人差が少ない。軸から離れる場合は、異色というような修飾語が必要になるぐらいアンオーソドックスになる。
中井 なるほど。
そう言われてみれば、そうかもしれないですね。
僕はシンプルに何を使ってもいい、何を使っても勝てばいいのが総合格闘技なので、全てを認めないといけないと思います。
投げで勝つ方法だってあるから、スラムで勝つ人間を認めないと。
だから、「この勝ち方は、ちょっとぉ」という風潮はなくなって欲しい。
僕は寝技がすごく好きだし、一生懸命やってきたこともあるけど、寝技だけを見ていてもしょうがない。
全てが必要。
答があるとすれば、取れるのなら、勝てるのなら、どれでもいい。
ただし、イベントによって判定基準というものがあるので、時間制限内で勝ちどころを見つけないといけないし、プロとしてお客さんの前で戦っていることも考えないといけないですから、仕方ない部分もあるんです。
――ならば、見る方、伝える側も考え方が変わらないといけないわけですね。勝つ、勝利することの大切さを、エキサイティングや面白いという側面に負けないよう評価できないといけないと。
中井 それがあったら、そういう風になるのでしたら、あった方がいいですね。
前回は穴があったけど、その穴が埋まっていた――、そういう風に見てもらえたらいいですね。
もちろん、ヒューマン・ドラマ仕立ても有りですが、本当に好きな人が胸を踊らされる部分を突いてくれれば――というのも良いですね。
四話完結のインタビュー記録 お見逃しなく!!
【誌面&Web連動企画】どうすれば日本の総合格闘家は北米で勝てるのか?
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