Fight&Life Magazine連動企画
「どうすれば日本の総合格闘家は北米で勝てるのか?」
第一弾 中井祐樹インタビュー 続編:その二
日本人がフィジカルで、諸外国勢に劣っているのなら、
どうやって、その差を克服していくのか。
フィジカルで追いつくのか、それともテクニックの積み上げていくのか。
現在の日本の格闘家の多くが置かれた状況、
格闘家を目指す人間の現実――、はフィジカルとテクニック両方に割く時間がない。
ここを埋める手立ては、寝技にあるのか。
『絶対王者が一本負けをする。それが寝技の世界にはある』(中井)
中井 打ち込みを練っていくグループ、補強をやるグループ。四股を踏み続けているグループ。
自分はそれが市民スポーツにある姿だと思っています。
画一的な練習をするということは、僕はしないんです。
――例えば、それが一般の練習生さん対象の練習方法であったとすると、北米でトップを目指すという意思で練習に参加している者はどうなるのでしょうか。
中井 それも体の作り方は、一概に言えないですね。
そうだなぁ、UFCを目指す人間は時間を捻出すること。
それがスポンサーを獲得してのことなのか、やりかたは色々あるのですが、技術もフィジカルも両方やらないといけないですね。
1日に2回、ないしは3回のトレーニングが必要です。
それが今、米国人がやっているトレーニングですから。
日本人はそこが難しい、だから、う~ん、こういう言い方は良くないのかもしれないですが、学生の間にやること。
そういう風になってくるんですね。
例えば、この5年間だけは集中してやらせてくれ――というのは、若いうちだけですから。
――そうですね。大学生のときは自分も力仕事と水商売、二つのバイトをかけもちできるぐらい時間がありました。
中井 社会に出る、家庭と持つという状況になると、この格差社会では時間を作り、趣味に高じることは難しくなっていくでしょう。
ただし、本当にトップを目指すのであれば、午前中に体を鍛えるトレーニングをする。
午後からスパーやロードワークをする。
その逆もあるんですが、練習後にフィジカルをやるのか、それらの要素をシャッフルしながら鍛えていくしかないでしょうね。
――で、結局のところフィジカルを鍛えることによって得る成果、それが日本人に限定し、日本の総合格闘家の状況をみると、寝技の方が近道でないかというのは、暴論になってしまうでしょうか。レスリングとボクシングでは、フィジカルで強い人と弱い人の差は柔術よりも大きい。立ち技の攻防は、フィジカル直結という部分が多いのではないかと。それを寝技ではカバーできる部分、もちろんフィジカルを鍛えた上での体力の差ということで。もちろん、パンチは一発で勝てるという可能性をスタンドの打撃は持ち続けているのも事実ですが。
中井 そうですね、全てに可能性がある。
だから、自分にとっては等しく価値があるもの。
寝技が、僕ら好きだから。
寝技が好きだから、やっている。そういう考えにもある。
でも、そういう考えはやはりマイノリティなんですね。
ただし、寝技って力の差を覆す力を持つ。
そんな魅力を気づかせてくれる人間が、歴史上、時々出てくる。
現れるんです。
例を出すと申し訳ないんですが、東京オリンピックでぶっちぎりで強かった岡野功さんが、後にサンビストに取られてしまうとか。
そういうことが、歴史上起こる。
絶対王者が、寝技で一本負けということが。
それは女子柔道でも、よくあることですし。
五輪帰りの選手が、寝技で負ける。
よくあることなんです。
立ち技と寝技がある競技に限られてしまうのですが、そういうことを気づかせてくれるのが寝技なんです。
――サッカーは、どんな強豪でも大切な試合で負ける。その可能性が野球よりも、一見高総に感じてしまう。攻防一体なだけ、得点を獲得する筋道がシステマチックじゃない分。それが寝技にも言えることかもしれないですね。
中井 うん。そうですね。
寝技の感度が高い、国民だと思いますよ。
日本人は。
ただし、厳密にいうと、現状ではブラジリアン柔術はおろか、サブミッション・レスリングでも日本はトップではないんですね。
一部、トップ選手はいるのですが。
国別で語ることも不毛さにもつながってしまうのですが。
別に国の代表が一人ということでもないので、こう言い切ることは、あまり良しとはできなんですけどね、本当は。
――アベレージでいうと、ボクシングよりも柔術、レスリングよりも柔術の方が高い。そういう風にも見えるのですが。
中井 そうですね。
総合もそうじゃないですか?
うん、でも、ルールにもよりますから、ちょっと分からないですね。
――でも、総合でもなかなか勝てない状況ですよね。ただし、米国人には寝技で勝てるかもしれないけど、ブラジル人にはそういうわけにはいかない。ブラジル人に勝つには、立ち技なのか、、、結局、北米で勝つといっても答は一つにはなりえないですね。
中井 ただし、UFCでフェザー級、65kgが始まったとき、その世界戦が日本で行われるようになる。
そういう風にはしていきたいですね。
四話完結のインタビュー記録 お見逃しなく!!
【誌面&Web連動企画】どうすれば日本の総合格闘家は北米で勝てるのか?
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